事情


 
各地から、エスタへと、時間をおいて集まってくる情報
ようやく出そろった情報を元に、今後の方針を話し終わったのは先ほどの事
まとめられた方針に従ってそれぞれの仕事をこなす為に散っていく
各地から届いた報告書へと、改めて眼を向ける
「………だからさ、結局バラムガーデンとガルバディアの繋がりってのはどうなってんだよ」
キロス達に指示を伝えようと立ち去っていく、後ろ姿を見ながらラグナが呟く
「………………」
その呟きを偶然耳にした彼等は、特に感想も返事も返さずに仕事を続ける
「彼奴等、先々の事まで判断して好き勝手に行動始めてる……って感じがすんのは気のせいか?」
誰の返事も返らないまま、ラグナのつぶやきは尚も続く
「それになぁ……」
情報の伝達、実行までに時間がかかるからな
「……いやな予感がすんだよなー」
事情を探る、それ位ならば問題は無い
バラムから届けられた報告書に視線を向ける
だが、ここまで状況が動いているとすれば、連絡を待つなんて、悠長な事はしていられない
「とりあえずバラムと、ガルバディアを結んでおかないとな」
最前線に置かれるだろう、2つの地点間での連絡が取れないのは確実に問題になる
その場での判断能力ってやつについては、確かに信頼出来るけどな
最悪の状況に陥る事は無いだろうが……
こっちに居る限りは、正確な状況判断は出来ない
必要な時に必要な手を打てるかどうかも疑問だ
「ガルバディアガーデンの方に探りを入れるってのは良いんだけどな……」
あそこは軍との結びつきが強い……らしいからな
どこよりも注意が必要って言えるんだろうが
ため息をつき、無意識の内に机を指で叩く
「…やっぱり位置関係の把握だよなぁ」
誰が何処にいるのかも分からない状況では、指示も支援も出来ない
独り言とは言えないラグナの独り言に、彼等は無関心なふりをして耳を澄ます
「いっそ、俺も行くかな…………」
しみじみと呟かれたラグナの言葉に、数人が血相を変えた

静寂に包まれたガルバディアガーデンの中
態度も声も存在そのモノが賑やかな、バラムからの一行は非常に目立つ
注目を浴びて当初、壁際へと場所を移したが、こちらを伺う様な、視線が途切れる事が無く
結局人の眼と耳のある場所を避け、建物の外へと足を運んで居た
彼等からほんの少し距離を置き、スコールもまた、見知った顔と合流する為に外へと足を運ぶ
隠密行動には向かなそうだな
声高に話をするSeeD一行の様子に、改めて抱いた印象
彼等が外へ出るのとほぼ同時に、ゲート脇での待機を命じる放送が流れた
「丁度いいんじゃねーか?」
にやりと笑うサイファーの顔
賛同や文句の言葉を発しながらも、肩を寄せ現状を確認する彼等の側からスコールは離れる
歩み去る背中に感じる視線も、声が届かないほど離れた所で途切れる
スコールに聞かれたく無い話をする、という事なのだろう
分かりやすい彼等の様子にスコールは肩を竦め、オルロワの元へと歩み寄った
「それで、何故ここに居るんだ?」
困ったような笑みを口元に浮かべ、オルロワが問いかけた
近づいた彼の側から微かな機械音が聞こえる
「そちらこそ、何故此処に?」
彼の問いかけに、スコールは問いかけを返した
 
 
 

 To be continued
 
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