協力者


 
1人で出来る事なんてたかが知れている
だから、他の人の手を借りる
手を借りようにも訳があって借りる事が出来なかったら?
………そうしたら1人でどうにかしようとするの?
できないって、そう解っているのに
だから、私は他の手段を選んだ
―――勝手に協力者にしてしまう事
今まで嬉しいと思った事は一度も無かった能力
それを役立てる事が出来るなら
少しは許せるかも知れない―――

人の声が聞こえる
そして、周囲に満ちた騒然とした空気
何?
「確認してきます、部屋からは出ないでください」
彼等が厳しい表情で部屋の外へと向かう
次第にざわめきが大きくなっていく
何かを叫んでいる人の声
そのほとんどは聞こえないけれど、サイファーやゼル、キスティスの名前が聞き取れた
あの子達に何かあったの?
少しでも話を聞こうと、中庭に面した窓へと近づく
踏み出した足が重い
ガラス越しの景色が不意に歪み始める
ダメッ!
意識が引きずられていく強い感覚
コントロール出来ない力が発動する
何が起こったのか、確かめないと…………
そして、私の世界が変わった

護衛なのか、彼女の周りには常に2人の人間が付き添っている
それも明らかにここの人間とは違う奴等だ
「さーて、どうするかねぇ?」
人目に付かぬ様接触の機会を伺って数日
学園内が騒然とし始める
廊下の片隅で不安げに話す姿
食堂で争う姿
言葉の端々にキーワードの様に浮かぶ名前
そして、不吉な予感を抱かせる“魔女”という単語
表情を引き締め、状況を確認する為動こうとした瞬間、視界の隅で白い影が動いた
厳しい顔で、何処かへと向かう、護衛達の姿
チャンスだな
全員が何処かへと去ったのを確認し、ファウロは手早く部屋の中へと滑り込んだ
 

 To be continued
 
Next