エスタ大陸


 
―――エスタ―――
沈黙の国エスタ
かつて魔女戦争の折、魔女を擁して世界を敵とした国
狂信的に戦いを繰り広げ、人を連れ去った国は
ある時を境に姿を消した
その日からエスタという国の声は聞こえず姿も見えない
それから幾年もの歳月が流れ
かせられた名前は
―――沈黙の国エスタ―――

夜明けまで続いた会議の末
バラムガーデンはエスタ大陸沖の海上をゆっくりと航行していた
かつての魔女大戦以降、誰一人として辿り着いたことの無いと言われる大陸
エスタからの兵が途絶え、通信が途絶え、人が途絶えた後、突如消失したと言うエスタの都市
集め、知る事の出来たエスタの情報には、手がかりとなる情報は何一つ存在しなかった
窓の外に見える大陸は、切り立った巨大な崖が海からの上陸を阻んでいる
延々と、飽きるほど続く同じ景色
ほんの僅かでも、上陸出来そうなポイントは存在しない
かつて存在していたという、エスタとガルバディアを結ぶ道は、戦争が起きて直ぐに無くなったらしい
「ここもダメみたいだね」
切り立った崖は、確認出来る限り途切れる事無く続いている
「次に行くか」
ガーデンが加速し、向きを変える
エスタへの侵入を阻むかの様に延々と続く切り立った崖
どんな手段を用いても辿り着くことの出来ない様なその場所は
何らかの手段で辿りつくことが出来る事が解っている
彼等の言葉に偽りが無いならば
俺達の推測した、人間関係に誤りが無いのならば
エスタへと辿り着く手段は存在する
机の上に広げられたのは、図書館の奧から探し出されてきた世界地図が一枚
広大なエスタの大地に刻み込まれる×の印
「危険かも知れないけれど、大陸の反対側に廻ってみるのはどうかしら?」
キスティスが指し示したのは、バラム側の海
確かに可能性はあるかもしれない、が………
「バラムの傍を通るわけにはいかねぇな」
“船”ならともかく、この乗り物は嫌に成る程目立ちやがる
すぐさま発見された上、攻撃の対象になるだろうよ
「とりあえず、大回りして反対側かな?」
ひねり出された航路は頭痛がするほど長い迂回路
「なんかあったら知らせろ」
サイファーの言葉をきっかけに、目的地へとたどり着くまで暫くの休息の筈だった

窓の外に見えるエスタ大陸は相変わらず切り立った高い崖
ガーデン内には、緊急事態を告げる放送とサイレン音が響いている
顔を引きつらせながら、指定された持ち場へと走る少年少女の姿
近く迫ったもう一つのガーデンの姿
慌てたような声が名前を呼ぶ
ガルバディアガーデン
同じ古代の遺跡を利用して作られたその建物は、バラムガーデンと同じ様に移動し
そして、2つのガーデンはセントラ大陸で遭遇した
 

 To be continued
 
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