魔女イデア(4)


 
乗っ取られた身体
包囲された思考
身の内に蔓延った異質の存在
強い存在と魔力に抵抗する事が出来なくなり
私が存在を奪われてからどれくらいの時が流れたのだろう
長い時間が過ぎた様で
それほど時間が経っていない様で………
私が、外の様子を知る事が出来るのは、彼の魔女の力が弱まったときだけ
小さな隙間から覗くように垣間見える世界の数々
ただ見ることしか出来ない光景の数々に、ただ私は悲鳴を上げるだけ・・
そして、私が今日目撃したのは恐れていた悪夢
“私”が放つ魔法に膝を突く子供達の姿
そんな事は起こらない、と言い聞かせていた筈の光景
“私”の手によって傷ついていく子供達の姿
そして、姿の見えない少女
心を過ぎるのは後悔と絶望
傷ついていく子供達へと差し伸べられない腕
誰かの為に役立つ筈の力
誰かを護る為の力
私が受け継いだ魔女の力はそういったものだったはずなのに
子供達を傷つける力になるなら、この力はいらない
誰かに対する、心の底からの祈り
魔女の力なんてなくなってしまえば良い
私はこのとき始めて、魔女の力を呪った
そして………
尚も続く光景の中
戦況に訪れる変化
しばらく後、“私”を強い力が襲った

辺りを覆った白い閃光がゆっくりと引いていく
白い光景の中で動く人影が2つ
倒れ伏したリノアの姿と“魔女の騎士”
一時近づいて、そして離れていく
回復していく視界の中に存在する静寂
聞こえない音の数々
そしてようやく開けた視界を見渡せば、力を出し切ったのか膝を突いた仲間達の姿
倒れたままの仲間達の元へ駆け寄ろうとした私の感覚が異変を告げる
ついさっきまで存在していた強烈な悪意が薄れている
“魔女”の存在の消失
「………勝ったの?」
こぼれ落ちた言葉が広い講堂に高く響く
ゆっくりと巡らせた視界の中、“魔女”が動く
疲労した身体が反射的に反応する
もう一度戦闘が続いたら………
頭を過ぎった不吉な予感
「………私は………」
強張った身体が捕らえた声
「皆、大きくなりましたね、強くなりましたね」
柔らかな声音、悲しみに震えた音
ママせんせい?
仲間の………友人達の視線が集まる
ママ先生の言葉が聞こえる
「私はエルオーネを守りましたか!?」
そして問いかけの言葉
私はその言葉に対する答えを持たない
逸らした視線の先に、倒れ伏したままピクリとも動かないリノアの姿があった
 
 

To be continued


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