未来の魔女


 
傷ついた人々
あちこちが壊れた建物
戦い終えた、自分達の姿
確かに伝えられた勝利の報に上がる歓声は無い
戦う必要を無くし、膝を突いた姿
安堵したような笑み
強張っていた表情が揺らぐ
そこにあるのは戦いに疲れた子供達の姿
疲れ果てた子供達の姿に感じる罪悪感
私の中にいた魔女の所業と
私の夫がしたこと
そして、私が行ったこと………
必要のない戦いに巻き込んだのは、私
数多い罪の形
“私”を取り戻した私が聞いた数々の出来事
目の前にある光景は、確かに私の罪の結果
私を操っていた魔女がやったこと
なんて言い訳は通用しない
「………まだ、私の中には魔女が居ます」
今は弱く私を覆い尽くしたりはしないけど、確かに感じる魔女の存在
一度この身を魔女へと明け渡した私には、再び乗っ取られないという保証はない
もしかしたら次の瞬間にも、魔女に身体を奪われてしまうかもしれない
その前に私は、私の知っている事を伝えましょう
罪滅ぼしにもならない些細な事
そして、罪の償いを
私が出来る限りの事を………

イデアがもたらした情報は衝撃を与えると同時に、納得による安心をもたらした
イデアの中に居たというもう一人の魔女
数々の行為を行ったのがイデアでは無かったと言うこと
あれがママ先生じゃないと感じた自分達の感覚の正しさ………
多分そういうことに対する感情的な安堵
「彼女は未来の魔女です」
“未来””魔女”
上げられた言葉の数々は普通じゃない言葉ばかり
強烈な憎しみを抱いた未来の魔女が今に精神だけを送り込んできている?
語られた言葉は、到底信じられやしない
見知らぬ誰かが語ったならば、信じないばかりか話すらも聞くことは無かっただろう
「魔女の目的は、エルオーネです」
彼女が持つ不思議な力を欲しているとイデアは続けた、けれどその後に続く最終的な目的ははっきりしない
エルオーネを手に入れ、何を実行しようとしているのか解らない
使った結果良いことが起きるってのだけは確実になさそうだけどな
短い接触だったがその事だけは確信できる
「問題はエルオーネね」
「そだな………」
未来の魔女からの警護をしに行くか、警戒するように伝えに行くか………
幸い、エルオーネが居る場所の検討は付いている
だが未来の魔女の手が及ばないようにするというならば、このままエルオーネの事は忘れてしまう方が良いかもしれねぇ
誰一人辿り着くことの出来ない国
ママ先生の中に未来の魔女が居るというなら、ママ先生を監視していれば事が足りる
あの魔女の気配は絶対に忘れねぇ
少なくとも俺達には、彼奴が出てきたら直ぐに解るはずだ
エルオーネの事を伏せ、大まかな提案をしようとしたその時
「サイファー!おかしな事がおこったもんよ!」
雷神の奴が勢いよく飛び込んできた
 
 

To be continued


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