復活2



 
次々と渡されるデータ
兵士達が宇宙から帰還し助けを待つ職員達の元へと急いでいく
様々な情報が宙を行き交っている
次々と告げられる位置の中で、一つだけ警告と共に繰り返される地点
―――魔女アデルの封印
墜落現場へは近づかないように、近辺に着地した脱出装置があるならば、ソレを優先的に助ける様にと幾度と無く繰り返される情報
聞こえてくる通信に兵士達の顔が強張っている
「急ぐぞ」
次第にクリアになる音声
受信する電波の感度が次々と上がっていく
長い間ごく狭い範囲しか使うことの出来なかった探査装置が息を吹き返している
―――情報の表示を切り替えます
合成音声が流れ込み
パネル上へと流れ込む数々の情報
「………すげぇ」
詳しい事情を知らないSeeDが感心した様な声を上げるが、クリアになる電波は長年発生していた電波障害が解消されたということ
―――アデルの封印装置が壊れたということだ
幸いなのか、アデルの墜落現場付近に不時着した装置は存在しない
アデルが封印を解除する前に再び封印することが出来れば上々
もし封印を解いた後ならば………
「間に合えよ………」
知らずアクセルを踏み込む足に力が入った

聞こえてくる音声が徐々に変化している
聞こえやすくなっていく音
そして………
明かりが灯る
沈黙していた機械の数々が作動する
「周辺データを送ります」
青く点灯したシンプルな画面に映し出される点の数々
エスタ大陸の全体図
徐々に拡大され、映し出されていく周囲の光景
同じ様に宇宙から落ちてきた物は複数あるが、幸いなのか近くに人工物の反応はない
『どうにか助かった様だな』
人工物の反応が無いということは
少なくともアデルは傍に居ないと言うこと
敵がモンスターだけならば、きっと切り抜けることが出来る
『だが、月に住むモンスターは手強いと言う話だから油断は禁物だ』
無意識に緩みそうになった気を引き締める
ここには守るべき人も居る、まだ油断は出来ない
スコールは壁に表示される周囲の様子へと視線を戻した

遠く近づいてくる車の影が見える
一直線にやってくる車の影
魔女が笑う、楽しげに、嬉しげに
笑い声の中に含まれた残忍な響き
流れ込んで来る様々な感情、意思
ゆっくりと動く手が、小さな機械を操作する
扉が開く音が歪んで聞こえる
ボンヤリと見える人影
伸ばした手が、身体に触れる
とたんに流れ込んで来る憎悪
頭の中で悲鳴と笑い声と怨嗟の声が幾重にも木霊する
誰かに向けて助けを求める声を上げる
―――意識が途切れる寸前、誰かが返事を返した様な気がした

 To be continued


Next