対魔女2



 
“魔女”の声が聞こえる
自分達を誘う声が聞こえる
呼び続ける甘い声
声が次第に強くなる
急がなくては
直ぐに駆けつけなくては―――
声の元へ向けて、移動を早めた

「ようやく来たか」
頭上を巨大な影が覆う
空を見上げて魔女が満足げに笑う
上空を行く巨大な影
頭上から響く轟音
丁度背後から現れるソレが何なのか、確かめる暇は無い
振り返ればソレは隙になる
逆に言えば
―――今がチャンス
ファウロは、躊躇うことなく“魔女”の懐奥深くへ足を踏み込んだ
心に感じる圧迫感
心臓を鷲づかみにされるかのような冷たい感覚
“魔女”からにじみ出る絶望
細い刀剣が魔女の身体を薙ぐ
腕が払い終えるのとほぼ同時に直ぐ隣へと出現する気配
魔女の身体へと吸い込まれていく鋼の刃
間近で聞こえる銃声
頭上から“魔女”の声が聞こえる
かすかに苦しさが交じった声
ぞくりとした感覚が背を走る
飛び退いた場所へ僅かの差で腕が振り下ろされる
「………おのれ………」
低く地を這う恐ろしげな声が追いすがってくる
心臓が激しく鳴り響く
―――魔女の圧力
こんなのを相手にしていたら、身が持たないな
攻撃そのものを受けずとも、内側から傷を負っていく
何の訓練もしていない一般人が魔女に飲み込まれるのは当然かもしれない
呼吸を整え、魔女の姿を目に写す
じわりと赤く染まる肉体
どうやら先ほどの攻撃が少しは効いた様だ
辺りを影が覆い尽くす
聞こえてくる轟音が音を消していく
不意に
頭上から降り注ぐ弾丸
とっさに魔女の傍を離れ、攻撃を回避する
上げた視界の中で、魔女の背後にあった封印装置が炎を上げる
耳に遠く聞こえる爆発音
頭上から巨大な建造物が、弾丸をまき散らしながら降下してくる
「拙いぜ」
巨大な機械が魔女の身体を飲み込んだ

 To be continued


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