帰還2



 
空の色が変わる
辺りの風景が変わる
異質な空間と濃厚な気配と共に彼方からG.F.が出現する
巨大な身体が空に浮かび一方的な攻撃を繰り広げていた物体を押しやる
重い衝撃
震動が伝わってくる
微かに崩れる姿勢
―――もう一度
衝撃に耐えられなくなったのか、それとも目的を果たしたからなのか
退避する様に海上へと向きを変えていく
激しい攻撃が止まる
………助けられたか
丘の上にSeeD達の姿が見えた

「君の悪運の強さには感心するよ」
木っ端微塵に粉砕されたルナベースの姿が見える
あれほどの大群となって押し寄せてきたモンスターの姿は跡形もない
人工物の欠片が漂う空間にアデルの姿は無い
ぎりぎり迄あがいた結果、脱出のタイミングが僅かに遅れて結局地表とは逆の空間に流れるはめになったが、その結果無くし物を見つけたのは運が良いのかもしれない
「俺もちっとそう思った」
………なんか違う気がするけどよ
「大統領、地上との通信繋がりました」
操縦席から声が掛かる
「繋がった!?」
世界各国に影響を及ぼしていた通信障害はアデルの封印が原因
「そちらに大統領は―――」
開かれた回線から明瞭な音声が流れ込んでくる
「封印がとけたか………」
ラグナが地上と通信を始めるのとほぼ同時に、ラグナロクは地上へ向けて降下を始めた

「ガルバディア兵が来る前に戻るよ」
扉のすぐ傍へ付けられているのはエスタ軍の軍用車
開け放たれた運転席の直ぐ傍にあるのは見知った兵士の姿
疑問に思う事や確認したい事はいろいろある
少なくともガルバディアの人間である筈のアーヴァインの事を無条件に信用出来るとは思えないが、エスタの人間である彼や、エスタ軍の装備の数々を否定する迄には至らない
付いて行く分には問題はない
アーヴァインの後に続きウォードが外へと足を踏み出す
その他の人間の気配は感じない
何処からか注がれる視線の存在もない
エルオーネが続き、間髪入れずスコールが続く
おかしな気配は生まれない
油断は禁物、だが当面危険は無さそうだ
兵士とアーヴァインが辺りを警戒する中、スコール達は足早に車両へと乗り込んだ
 

 To be continued


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