魔女アデル1



 
躊躇うように振り返る背中が遠くなる
アーヴァインに連れられて彼はこの場所から立ち去った
“魔女の騎士”はもういない
残るのは“魔女”ただ1人
「私達も行こうか」
部屋に残った4人に向かい、エルオーネが笑いかけた

丈夫な扉の中
数々の機械に囲まれた場所に“魔女”の姿があった
閉じていた瞳が開く
暗く濁った瞳が、ゆっくりと自分達を見渡していく
“魔女”の身体が揺れる
1歩、また1歩ゆっくりと近づいてくる身体―――
―――近づいてくる!?
引き擦り込まれるように奪われていた意識が不意に戻る
反射的に腕が上がる
耳元で聞こえる金属音
サイファーはガンブレードを構え、小さく舌打ちする
「ぼけっとしてるんじゃねぇ」
背後で彼奴等が我に返り慌てて構える気配がする
“魔女”の歩みが止まる
“魔女”の口元がゆっくりと笑みを浮かべた

先に行ったサイファー達に追いついた時には戦いは始まっていた
「なに、アレ………」
SeeD達に取り囲まれている1人の存在
人の形をした不気味な生き物
身体を覆うように包む魔力が視える
虚ろな動き
意味を成さない思考が流れ込んでくる
虚ろな視線がこっちを見る
―――視線があう
目の前のモノでは無い何かがこっちを視た
体中に悪寒が走る
反射的に、身体が大きく後ろへと下がる
コレが魔女?こんなのが魔女?
悲鳴が溢れそうになったリノアの耳に助けを求める声が聞こえた
―――“魔女”の背後で笑う女の姿が視えた
アレが元凶、アレが原因
直感的に浮かんでくる感情
頭の中が真っ白に染まる
“魔女”へと攻撃を仕掛けるSeeD達の姿がある
“魔女”が手を伸ばす
救いを求めて伸ばされた手に、リノアは引き寄せられるように近づいていた
 
 

 To be continued


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