魔女の城1



 
目の前に存在する巨大な城
数段昇った先にある扉は、こちらへとのし掛かってくるかのような圧迫感を感じる
不気味な外観
城から感じられる重圧
強い緊張感に、知らず息を飲み扉を見つめる
のし掛かる様な重圧なのか、意識しない所で感じている恐怖のせいなのか、彼等は辿り着いたその場所から暫くの間動くことが出来ずにいた

幸いなのか“魔女”の居城から“魔女”やその手下となるモンスターが現れる様子はない
そしてきっと幸いな事に、“魔女”への恐怖を感じるのか、この場所へとモンスター達が近づいてくる様子も無い
扉を開けてしまえばそこは“魔女”の領域
“魔女”を倒すその時まで、ほんの僅かでも緊張を解く事は出来なくなる
「アイテムは何が残ってる?」
一時の休憩と、各自の装備の点検
それなりに警戒をしながらも、戦いに向けた最後の準備を整えている
「そうね………」
彼等は先ほどから話し合いを重ねながら、戦闘時に使えるモノや有益なアイテムを効率よく扱うことが出来るように分配している
1人で突入するのは無謀だ
それはよく理解している、けれど今すぐにでも“魔女”を倒したいという気持ちも抑えられない
スコールはただ1人彼等の会話を聞き流しながら、すぐにでも先へ進みたい気持ちを抑え武器を手に城を見据えている
『戦いは焦った方が負けだ』
いつか聞いた言葉が、はっきりと脳裏へ浮かび戒めと成ってはいるが………
憎しみや怒り、哀しい記憶が結びつく先にはいつでも“魔女”が居る
心を覆う感情は、怒り
その全ての原因がこの城に住む“魔女”と言う訳では無い
それを理解していても、“魔女”に対する敵意は止められない
「城の内部を見ない限りは解らないけれど、在る程度の作戦は立てた方が良いでしょうね」
複数の視線を感じ、スコールはゆっくりと背後を振り返る
「どんなものか解らない限りは、どうしようもないと思うぜ」
準備が終わったのか、まとめた荷物を手に立ち上がる
「それよりも、重大な事があるだろ」
スコールの元へとサイファーが近づいてくる
「お前の獲物は?」
掌が差し出された

形状の異なる2つのガンブレード
サイファーは、自分のモノではないソレを手に取り感触を確かめる様に幾度か振り下ろす
「スコールの武器もガンブレードなんだな」
感心したようなゼルの言葉が聞こえる
よくよく想い出してみりゃ、ガーデンにいた頃から俺と同じガンブレード使いを目指していたはずだからな
形状の違いからなのか、ガンブレードの重心は自分のモノとは違う
実際の所同じガンブレードと言っても、中身は2系統に別れている
特色が違えば、使い方にも変化が出るのは当たり前の事だ
スコールの戦い方を実際に見たのは1度だけ
実力の最低ラインを推測することは出来たが、実際にどれだけ使えるかは解らないところが多い、が
ま、こいつが使えるなら実力は在るんだろうよ
「それじゃあ、そろそろ行くか」
サイファーは不敵な笑みを浮かべると、扉へ向かって階段へと足を踏み出した
 

 To be continued


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