魔女アルティミシア3



 
悲鳴が上がる
スコール自身が発した悲鳴
倒れ伏した彼女の側へと駆け寄る
その身体へスコールの手が触れる寸前、倒れていた身体が消える
スコールを中心に、花々が消えていく
―――すべての消失
何もない暗闇の世界にスコールはただ一人残される
二人へ視線を巡らせ、立ち上がる
周囲を見渡した先に、何かが小さく見える
―――赤い色彩
戸惑いながら、スコールはその場所を目指し歩き始める

真っ赤に色づいた花の数々
目に映るのは、毒々しい迄に赤い花の色
見覚えの在る赤は、血の色
スコールの手が花へと触れる
スコールの足が花を踏む
流れ出す赤い液体
―――血の匂い
ぎょっとし、後退ったスコールの耳に声が聞こえる
助けを求める声
弾かれたように見上げた先に見える“彼女”の姿
スコールは、夢中で彼女の元へと駆け寄る
「―――助けて」
はっきりと聞こえる声
彼女の視線がしっかりとスコールを捕らえている
心臓を打つ大きな鼓動
のばされた腕に手が―――

彼女を取り囲む幾つもの人影
逃げまどう彼女の姿
のばした腕は届かない
身体へと触れることの出来ない手
どれほど望んでも助けることが出来ない
幾度と無く見せつけられる光景
「助けて」
間近で聞こえる声、のばされた腕
すぐ目の前に見えた身体
スコールへ向かって倒れてくる身体
とっさにのばした腕にかかる負担
驚きに目を見開いたスコールの中に、血を流す彼女の姿が見える
苦しそうな息が腕に触れる
急速に血の気を失っていく顔色
「母さんっ」
スコールの腕の中から、レインの姿が消えた

―――絶望を上げよう
頭の中で、何かがざわめく
―――最高の憎しみを
意味を成さない音の羅列
スコールはガンブレード手に立ち上がる
辺りを包む暗闇の中に、スコール取り囲む気配
間近へと迫った鋼の輝きを払いのける
辺りへと響く打ち合わされる鋼の音
正面から振り下ろされる攻撃をスコールは受け止める
頭上から落ちてくる一筋の光
まぶしいほど光が辺りを照らす
光が暴き出す光景
血にぬれた大地
そして―――
―――っ!!
間近に暴かれる人の顔
耳元で誰かの笑い声が聞こえた

 To be continued


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