魔女アルティミシア6



 
魔女の姿が変わる
もはや魔女とは呼べない姿
わずかに留めた人の形
膨張し崩壊した身体の中に、人の顔だけが残る
自然目を背けたくなるような、醜悪な姿
まさに化け物、だな
怨嗟の声が響く
魔女であったモノが、中空から自分たちを見下ろしている
突きつけられる嫌な感情に寒気がする
強すぎる感情が、力を奪い去ろうとする
見せ付けるようにゆっくりと広げられる両腕
―――来る
「気をつけろっ!」
サイファーが叫ぶとほぼ同時に、頭上から強い光が降り注いだ

上空から魔法の光が降り注ぐ
無数の槍と化した力の結晶が降り注ぐ
隙間無く落ちるソレを避け続ける事は難しく
その幾つかが身体へ触れる
そして幾つかが身体を貫く
刺し貫く重く強い衝撃
瞬間的に感じる強い熱と停滞する冷たさ
鼻を突く嫌な匂い
咽喉の奥で感じる血の味
悲鳴が聞こえる
衝撃に閉じることなく見開いたままの目に人影が映る
衝撃に膝を突く姿
崩れるように倒れていく姿
終わることなく続く攻撃に、身体が崩れ落ちそうになる
冗談じゃねぇっ
押さえつけるように降り注ぐ衝撃とダメージに力が抜けていく身体を意志の力で強引に押さえつけ、サイファーは魔女が居るはずの場所を睨み付ける
そう簡単に、倒れてやると思ったら大間違いだっ
右手にはしっかりと握りしめられたままのガンブレードが在る
身体へと引き寄せた両腕は、思い描いた通りの軌跡を描く
なんだ、まだまだ大丈夫じゃないか
相変わらず続く衝撃の中
サイファーは不敵な笑みを浮かべる
一歩足を踏み出すと同時に、身体のバランスが崩れかける
―――邪魔だな
胸元へと引き寄せた左手を握りしめる
身体の中からにじみ出た魔力が手の中へと凝縮する
“魔女”が持つ魔法の力に敵わなくても、同質の力は、この威力を弱める作用をもたらす
今更、攻撃を防ごうなんて考えちゃいねぇ
動けるようになればソレで充分だ
魔法が発動する
魔女からしてみれば随分脆弱な魔法の煌めき
それが、彼等の身体へと降り注ぎ覆っていく
魔法の発動を感じ取り、そして衝撃が弱まる
先ほどよりよっぽどスムーズに足が動く
衝撃が緩和されたことを感じ取り、サイファーは魔女へとガンブレードを突き出す
軽い感触
魔女の攻撃が途絶える
体勢を整える気配を感じる
目の前に、魔女が居る
サイファーは無意識のまま
ガンブレードを振り下ろした
 

 To be continued


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