魔女アルティミシア7



 
魔法の光が身体を貫き
強い力が身体を吹き飛ばした
身体が目に見えない壁へと突き当たる
魔法の光が降り注ぎ視界の中が白い光で埋まっていく
どこからか聞こえる誰かの悲鳴、苦悶の声
絶える事無く続く魔法の力が身体を貫いている
途切れる事の無い苦痛に思考が白く染まる
強く閉じた目の奥に見え隠れする光
食いしばった歯の奥からくぐもった声が漏れ出る
耳に聞こえていた様々な音が遠ざかっていく
スコールの意識が途切れかけたその時、不意に攻撃が途切れた

手応えを感じた
魔女が身体を押さえ身体を揺らす
後退した足が大きくよろける
意識するよりも遙かに早く、サイファーは魔女を追いつめる様に攻撃を続ける
魔法を使わせる訳にはいかねぇ
攻撃を当てる事よりも、相手の邪魔をする事に重きをおいた攻撃の連続
ガンブレードを振り下ろした腕から血が流れ落ちる
足下へと血だまりが現れる
周りに居る筈の奴等の声が聞こえない
その辺りで転がっている筈のあいつらが攻撃に加わらない
―――使えねぇ奴等だな
ここでまた魔女を自由にする訳にはいかない
さっさと起きろ、と言いたいところだが今の状況じゃそんな余裕はない
至近距離で見ている筈の魔女の顔が解らない
―――認めたくは無いが、そろそろマジでやばそうだぜ
極端に狭くなった視界
感覚のなくなった手が滑る
唐突に―――
身体を暖かな空気が包み込む
じんわりと身体の奥から沸き上がってくる何かの感触
暖かな感覚に、一瞬手が止まる
―――しまっ………
サイファーの右側から、風が駆け抜ける
側面からの強い攻撃に、魔女が吹き飛ばされる
至近距離にゼルが着地する
「わりぃ、遅くなった」
キスティスとセルフィが詠唱する声が聞こえる
倒れ込んだ魔女へと打ち込まれる弾丸の音
壁際に立つスコールが手にしていた瓶を投げ捨てた
「ま、ぎりぎりセーフってとこか?」
サイファーは不適な笑みを浮かべると、魔女へと向かって駆けだした

―――間に合った
先ほど目にした光景に今更震えが走る
倒れ伏した彼等の姿
ただ一人魔女へと向かっていったサイファーの姿
その光景をはっきりと認識できた訳ではないが、状況はかなり追いつめられていた
キスティスが放つ回復魔法が、サイファーの傷を癒していく
こんな状況下では魔法の存在は非常に便利だ
ガンブレードを構え、スコールも攻撃を続ける彼等の元へと加わる
ポーチの中の瓶が微かな音を立てる
中に在るのは、持たされた数々のアイテム
魔法を使う事の無いスコールが使える唯一の回復手段
駆け寄るスコールの左手の中から球状の物体が転がり落ちる
白い煙が薄く沸き上がり、魔女をとり囲んだ
 

 To be continued


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