英雄とテロリスト
(始まり SideL)


 
その日
ガルバディアでは、諸外国を招いた式典が行われていた
新政府、新体制の開始
大統領1人による政治から、議会全体で行う政治へ
また、軍による権力への介入の制限、軍への命令権の分散
真実どこまで体制が変わったのか解らないが、変わったガルバディアをアピールするための式典
当然、招待国の中にエスタもまた含まれていた

「たまにはのんびりするのも良いだろ?」
ラグナ達は、その日デリングシティのホテルに宿を取っていた
「このホテルに泊まりたかっただけだろう?」
キロスの言葉にラグナは、一瞬言葉に詰まる
かつて、生活した土地、かつて、通い詰めた場所
「いいだろ?、のんびりできるのは事実だしさ」
長い間足を踏み入れる事のなかったこの地は、それなりに懐かしい
「確かにその通りだ」
未来を思い悩む事なく、自分達の運命に出会う前の時間
それなりに幸せで、それなりに夢を見ていた
「デリングシティを観光するなんてこともなかったしさ」
この場所が始まりの場所
「確かに、このホテルには通い詰めたがね」
ジュリアにあこがれて、な
「通ったってったも、誰でも入れるバー位しかしらねぇし、知らない事の方が多いさ」
生活しているが故に知らない事はたくさんある
「まずは、飯食いに行こう」

珍しい人物に会った
「食べる時位、嬉しそうに食べろよ」
作ってくれる人に悪いだろ?
スコールは、微かに反応し、顔を背け黙々と食事を進める
キロスはいない、彼はスコールを見つけると、ルームサービスというものを一度経験するのも楽しそうだと言い、部屋へと戻っていった
悩んだ末、案内しようとするウエイターを断り、スコールが座るテーブルへとついた
顔見たとたん不機嫌になるんだもんな……
「ところで、他の奴らはどうした?」
この場にいたのはスコール1人だけ
キロスの様に気を使って帰った気配もない
まさか、1人で式典に参加したわけじゃないだろうし
それに、式典の最中に、他のSeeDの姿を見た覚えがある
「出かけた」
出かけた?
「スコールは行かなかったのか?」
……行かなかったから、ここにいるのか……
「遊びに位出かけた方が良いぞ」
仕事ってわけじゃないんだ、息抜きも必要だぞ……
ラグナは、スコールが話しをしてくれる会話を見つけられないまま食事を続けた
 

 
 
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