英雄とテロリスト
(突入)


 
彼等は、速やかにその建物へと走り寄っていた
―――豪華なホテル―――
嫌悪すべき国をつくりあげ、その体制を維持しようとする者達に我々の力を見せなければならない
敵とのなれ合いを深めようとする者達の愚かさを、国民に示さなければならない
男達は、顔を見合わせ、頷きあうと、一斉に建物の中へと入った
「お客様………」
彼等の姿を見咎め、声をかけた従業員が、おびえたように言葉を途切らせる
視線を交わし、メンバー内の2人が、従業員達を取り押さえる
「我々の指示に従え、逆らうならば………」
階段へ、エレベーターへ、メンバーは分かれる
作戦は速やかに行われなければならない
ホテル内をいち早く制圧する為に、彼等は、個々人に分かれて、担当区域を目指す
一人の人間も見逃してはならない
何人かの人間がホテルから逃げ出したとしても、人質が残っている限り、今の不甲斐ない政府の者達には、彼等にはなんの手出しをする事もできない事は分かり切っているが、我々の力を世界に知らしめるためには、より完璧な行動が必要となる
リーダーを含めた3人は、上階のもっとも人が集まっているであろうレストランを目指す
愚かな者達は、我々の力をおそれ、SeeDの派遣を要請するだろう
通信機のスイッチを入れ、彼は、同志達の作戦成功の報を聞いた
SeeD、あんな者達に何ができる!?
ありもしない魔女の存在をでっちあげ
あり得ない、未来の戦いを口にした者達
そんな者達をおそれる必要がどこにある?
愚かな役人達は、偽りを信じ、我が国の正当な利権を手放そうとしている
我が国こそが最強であり、我が国のみが世界を掌握する権利があるというのに
音を立てて、エレベーターが止まった
彼等は、これから、最後の掌握を果たすことを告げ、エレベーターを降りた
 
 
 
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