英雄とテロリスト
(機会 SideS)


 
はじめはかすかなざわめきだった
スコールもラグナも、そのざわめきを気にしなかった
人々の緊迫した気配を感じ、スコールは、その方向を見た
「なんだ?」
騒ぎに気づいたラグナが、入り口を気にする
とたん、辺りに銃声が響きわたる

スコールは、辺りに警戒の視線を投げた
何が起きた?誰が狙いだ?
「動くな!」
入り口から、男たちが、乱入してくる
数は、3人………
この場に来た目的はなんだ?
スコールは、周囲に不振な動きをする者がいないか、素早く確認する
男達と連動し、行動する者はいない
「スコール………」
確認するようなラグナの声
仲間が存在するか、ということなら……
「……いない」
小さなスコールの応えにラグナが僅かに頷き同意を示した
男達は、銃で脅しながら人々を部屋の奥へ、隅へと追い立てる
スコールは、その流れに逆らうことな、自然に、人々の集団の端へと移動した
ラグナは、最前列へ場所を移動している
あれなら、問題ない
お互いが、お互いに動きやすい位置、いざ行動を起こした時に、スコールの位置からラグナの行動を見ることができる
この状況を甘んじて受け入れる、なんていうことはあり得ない
大切なのは行動を起こすタイミング
一度に、人々を守り3人もの敵を相手にすることはできない
この位置ならば、ラグナが動く瞬間を察する事ができる
スコールは、神経をめぐらせ、辺りの様子を探る
警備についていた者は、捕らえられ、会場から連れ出される
不安気な人々のおびえ
自分たちに及ぶ危険を少しでも排除する、正しい行動だ
男達が演説を始める
今の政府に対する不満、不振…………
結局は、自分たちの今の待遇が気に入らないということか
声高に自分たちの理想を語り、正当性を主張する男達
話の中には矛盾が生じ……
「理想の実現のためには、再びの戦禍も仕方がない」
その言葉にスコールは、眉を寄せる
人々の間からも、不快の声があがる
何を言っているのか解っているのか?
何をしているのか、解っているのか?
 
 
 
 
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