(掌握)
恐怖におびえる者達の顔 あっけない程簡単にこのホテルを制圧する事に成功した 「騒ぐな!」 うるさい者達を恫喝し銃口を向けると、自分たちの立場を悟ったのかすぐにおとなしくなる 「この建物は我々が占拠した、命が惜しいと思うならば、おとなしくしていろ」 面白みのない言葉だが、今はまだいい 我々の力を思い知るのはこれからの事だ まずは、外に集まった愚かな者達に警告をしなければならない 通信機から、階下に残った同志の声が聞こえる 建物の完全封鎖の完了 着実に進む作戦に満足し、彼は人々へ、自分達の理想を語り始めた 「今の政府のやり方では、我が国が他の愚かな国々と同一の存在になる どこよりも優秀であるべき我が国を堕落させる今の役人達を断じて許すことはできない よって彼等は、より我が国の事を理解している我々の同志にその権利を速やかに渡すべきである」 彼は、人々の視線を受け、よりいっそう、演説に力を込める 「我々は、我々の国の為に、我々の権利を主張する 我々は、この我々の正当な権利が認められない場合、武力による主張も仕方ない事と判断した」 彼は人々を悠然と見渡す 誰一人口をはさむ事なく、彼の言葉を聞いている 通信機から、微かな雑音が聞こえた 何事だ? 通信機に向け意識を集中すると、雑音は消え、変化なく同志が動いている気配を伝えてくる 気のせいか? 彼は気を取り直し、人々へと意識を戻した 様子がおかしい
同志の半数以上と連絡がとれない
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