(派遣)
「SeeD試験を行おうと思います」 にこやかに笑い、シドが告げた SeeD?こんな時期にか? SeeD試験は年に一度、今年の試験はもう終わっている 「ただし、今回の試験は少しばかり特殊なものになります」 シドは問いかける視線を無視して、ゆっくりと説明を始める まずは、試験の場所、その依頼先 エスタ? また、か? またと言う言葉が頭を過ぎり、スコールは思い直す SeeD試験に使えるような依頼をエスタがするのか? 実務試験に通用する事ならば、エスタからの依頼はかなり厳しい物になる 「今回の試験を受けるのは1人だけです」 スコールの頭をいやな予感が掠めていく 「あなた方は彼と共にエスタの依頼をこなして貰うことになります」 何か言いたそうなゼルと視線が合う ここでその候補生は誰なのか聞くべきなんだよな? 沈黙の時間が流れる 一緒に呼び出されたキスティスも、ゼルも、何かを躊躇うように言葉にしようとしない 俺が言うのか? スコールはいやいやながら口を開く 「それで……その候補生は…………」 スコールの言葉にシドはいかにも裏があるといった風の笑みを見せる 「あなた達も良く知っている相手です」 視界の隅でゼルが頭を抱えて座り込んだ ……サイファー、か…… 深いため息が口から漏れた 確かに実力は問題ない、だが、素直に試験を受けるのか? ガーデンに戻ってきた後も、相変わらずのサイファーを思い浮かべる 素直に受けるなんてあり得ないな……… 誰か解ったようですね などと呑気になシドの言葉が聞こえる 「それで、仕事の内容と、試験についてなのですが……」 柔和な笑みを浮かべてシドの説明が始まる 「海賊、ですか?」 そんなものの退治の為にSeeDに依頼した? 居場所さえ掴めればさほどの苦労なく排除する事が出来るはずだ ……その居場所がつかめないのか? 「詳しいことは、聞いていませんが、どうやらただの海賊ではない様です」 聞いていない? 詳しい内容も聞かずに依頼を受けたのか? 「学園長、聞いていないというのは……」 「詳しい事は、依頼人が直接話すそうです」 キスティスの質問を遮り、有無を言わさず口調でシドが言う 「ただし、合流前に、海賊の本拠地の正確なポイントを探って来て欲しいとのことです。その辺りの資料は後で渡します」 詳しい事を聞こうとするスコール達をシドは押しとどめる 「それで、問題の試験の方ですが」 何気ないシドの言葉に緊張が走る 「依頼内容が内容です」 ……詳しい依頼知らないんだったな…… 「ですから、SeeD試験の試験官は、依頼人にお願いする事にしました」 なんでもない事の様に言われた為、スコール達は、その言葉を理解するのに、僅かな時間を要した 「部外者に判断できるんですか!?」 キスティスの悲鳴の様な声があがった 「重要ポイントは教えましたから問題ないはずです」 ………そういう問題でもないな…… 「そうそう、それと、今回の依頼では、班長は設けません、全面的に向こうの指示に従うようお願いします」 何とも言えない空気が漂った ……ラグナ、なんだろうな…… キスティスとゼルの2人が唖然としている中、スコールは重いため息をつく でも、その方が、サイファーも勝手な行動はとらないのかもしれない…… 数時間後、4人は依頼をはたすべくセントラへと向かった
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