英雄と遺産
(ボーナス2)


 
鈍い爆発音と共に巨大な水柱が上がった
潜水艇に仕掛けた爆弾が作動したらしい
うまく作動したみたいだな
なかなか爆発しない事を気にしていたサイファーは安堵の息を吐いた
爆発するのを待っているなんてのは、俺には合わねぇな
サイファーはちらっと後ろを振返り、急ぎ足で廃虚を進む
爆弾をセットし、残されていた海賊を避難させた時点で、キロスによって新たに下された命令
サイファーは、退屈させることなく発せられる命令に気を良くしていた
サイファーは足を止め辺りを伺う
いねーな……
人の気配どころか生き物の気配すらしない
『ラグナ君と、スコール君を探して来る事』
サイファーは命令に従い2人の姿を探している
海賊退治なんかで手間取るはずがないからな
サイファーはトラブルの予感に機嫌よく歩を進める
突如、瓦礫の山の向こうに形を残した建物が見えた
アレだな……
廃虚の中に一つだけ残る建物
これ以上怪しい所なんてねーよな?
サイファーは上機嫌で、建物の中へと進入した

機械兵の残骸が道筋に落ちている
ガンブレードによるもの、そして、もう一種剣によるもの
2人の痕跡をたどりながらサイファーは一見無造作に見える動きで敵を切り伏せていく
切っても切っても何処からか現れる相手にさすがのサイファーもうんざりしていた
「邪魔だっ!」
目の前に立ちふさがる相手をまとめて切り捨てる
倒れた機械が別の奴を巻き込んで炎上する
こいつら、増殖でもしてるのか?
先行している2人が倒したはずの数、そして、自分自身が倒した数を考え、サイファーの背に冷たいものが流れた
冗談じゃねーぞ
いくら強くても、体力には限界というものが存在する
戦い続けられる訳が無い
戦い慣れした人間ならばだれでもその事には気づく
ってことは……
手っ取り早いのは頭をつぶす事
セントラの遺跡だけあって生き物の気配はない
命令を下せる人間は存在していない
迷うことなくサイファーの元へ現れる機械達の動き
コンピューターってとこか
サイファーは、先ほど見た地図を思い浮かべる
統括警備室、重要施設……
「ま、行けば解るだろ」
状況の改善を計る為、サイファーもまた先の2人に習い防衛システムの破壊を目的に移動を始めた

破壊された扉の向こう、機械兵に混じって、ラグナの姿が見えた
スコールはと言えば、ラグナと対照的に、突っ立ったままだ
その様子にサイファーは、足を踏み込み、機械兵をなぎ倒した
「何やってんだ?」
ラグナさんが苦戦してる時に、優雅に見学か!?
サイファーがスコールをにらみつけると、振り返ったスコールがサイファーに向かい攻撃を仕掛ける
とっさに上げたガンブレードが、攻撃を受け止める
「てめぇ、なんのつもりだ!?」
「敵に操られてんだ」
怒りを露わにしたサイファーと対照的に冷静なラグナの声
なんだと!?
怒りを募らせたサイファーの元へ機械兵が注目する
「そっちは、頼む」
ラグナが声と同時に、兵士達に守られた機械へと一撃を放った
ラグナの元へ機械兵が集まっていく
ラグナの手元から、二つに折れた剣が宙へ飛んだ
!!
助けに向かおうとしたサイファーの目前で、機械兵が動きを止め
そして、スコールが崩れ落ちた
 
 

 
 
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