「よう、無事だったみたいだな」
通信画像の向こう側にはスコールの姿がある
「……あんたもな」
気楽で簡単な挨拶でお互いの無事を確認し
すぐさま、話は現況へと移る
もう少し無事を喜ぶとかしてくれても良さそうなものだけどな
そんな場合ではないことは良く判っている
同時に、自分もまた、あっさりと話を移行しているのだから同罪だ
「セントラだ」
「ああ」
要点のみの言葉に、スコールが同意する
さすがＳｅｅＤって言うべきなんだろうな
セントラで良くない事が起きてるって当たりはつけていた訳か
「何か判ってる事はあるか？」
こっちは、何も判っていないも同然だからな
ここで何か情報が貰えれば、今後の方針も立てやすいんだが
「そっちこそ、どうなんだ？」
……そう上手く行かないか
ラグナは、画面の向こうに向かって肩をすくめて見せた

画面の隅に映し出されるセントラ大陸図
地図が拡大され、ある一部の地形が表示される
「お互い当たりをつけたのはここってことだろ？」
ラグナが示しているのは、上空からラグナロクで撮影したもの
小さな入り江に小舟の姿が見える
そして、入り江のすぐ側にある整然と木が植えられた小規模な森
荒れた大地の多いセントラの中で、整然とした緑の違和感
「たぶん目くらましだと思うんだけどな」
これじゃあ、逆に目立つと思うんだけどな……
「……そのつもりなんだろう」
長い沈黙の後、スコールがため息混じりの言葉を呟く
そして、もう一つセントラ大陸の映像が表示される
「これが海上から見た地形だ」
先ほどと同じ場所の映像
小舟が一艘ようやく通れる程の狭い地形
その奧に、崖になった陸地が見える
不意に画像が拡大される
小さな小舟が、崖に開いた洞窟へ入っていく姿が映し出される
「ここが入り口だ」
これは、ちょっと面倒な場所にあるな
「他に入り口は無いんだな？」
「周辺を簡単に探したが、見つけられなかった」
無いって言い切らないところを見ると、可能性は残ってるってところか
「少し探りを入れた方が良いみたいだな」
俺が出した結論にスコールは無言の同意を示した