英雄と夢想家
(情報)
「エスタの方もたいした情報は持っていなかった」
主立ったSeeD達が集まっている
誰の依頼も受けていない作戦
ガーデンが直接攻撃されたとなれば、俺達は嫌でも動かなければならない
もっとも、今回の件を嫌がる奴はさすがに居ないようだ
「そうだろうな」
ゼルがしみじみと同意する
確かにこっちの状況を考えるとそれも当然の様に思える
ゼル達が撮影してきた映像が表示される
「ここが通常の入り口だ」
映し出される地形を目にし、思い思いの声が上がる
「見ての通り、ここから中に進入を計るのは難しい」
あの様子からすると、手段によっては簡単に進入できる可能性もある
「この付近の状況については、ゼルとアーヴァインに聞いてくれ」
皆が同意の印を見せるのを確認し、スコールは話を続ける
「そこで、他の進入経路を探すと共に、情報を収集する事になった」
スコールは先ほどエスタから貰った画像を表示する
「周辺の様子だ」
拡大された映像
相変わらず、整然とした人工的な森の姿が見える
映像を見た、彼等が黙り込む
「どう考えてもこれが怪しいよね」
しばらく続いた静寂の後、セルフィが、ぽつりと呟いた
セントラの大地
怪しいのは、あの森だということは共通した認識にはなったが
その場所へどうやって近づくかが問題になった
以前と同じように陸路を遠回りするにしても、この場所が本拠地である限り、発見される可能性が高い
……監視カメラを設置する位の事は幾らなんでもしているだろう
というのが全員の一致した意見だ
話合いの最中に飛び込んで来たのはエスタからの一方的な通信
提案されていた方法
そして今、セントラ近くに浮かぶ船の上に居る
合流したエスタの人間が両手で抱えた海鳥を差し出す
「こんなので大丈夫なのか?」
それほど大きくない鳥
「大丈夫です、2日は持ちますよ」
そう言って渡された鳥はずっしりと重い
鳥の形をした機械の固まり
「機械越しならば見破られる事は無いと思いますが…………」
どこまで鳥に似せた動きをする事ができるかということか?
エスタから提案された作戦は、その場に居てもおかしくない生き物を使うと言うこと
「他にもいるんだろ?」
こんな風に、この周辺に生息している生物の形をした機械
「ええ、状況に合わせて、いろいろ作ってみましたが……」
指し示された先には、数種類の動物とモンスターが居る
……………………
「ただ、機械ですので、地上を歩く動物ですとどうしても重さが……」
おそるおそると科学者だろう男が言う
「だから、モンスターがいるのか?」
確かにこの付近にモンスターが居る事はおかしくないだろう
そして、モンスターの生体をじっくり観察する人間がいる筈もない
「結構良い案だと思うんだけどな」
船室へと不意に顔を覗かせたラグナの声
……あんたの考えか
「モンスターだったら、監視カメラの一つや二つ壊してもおかしくないだろ?多少変な動きしたところで、モンスターならありだしな」
ラグナの口元に微かに浮かぶ笑み
それは確かに使えるかもしれないが
「まずは大まかな状況を確認してからだ」
スコールはそう言い置くと、機械を手に甲板へと向かった
ラグナサイドへ スコールサイドヘ
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