英雄と夢想家
(作戦)


 
「出入り口を全部固めるってのは、基本だろうな」
エスタ側とバラムガーデンの主要人物のみが集まった会議室
状況の確認と新たに入手した資料の確認が先ほどから行われていた
その上での行動の相談
「それが無難だろう」
1人も逃がさない覚悟で臨むなら、あらゆる逃げ道は確保しなければならない
「そうなると今の段階から、出入りする人間を把握しなければならないな」
用事を果たしに出かける者
そして、用事を終えて戻る者
そのすべてを把握しなければ、必ず幾人かの取りこぼしが出てくる
彼等がどういった集団なのか実体が判っていない以上、総ての人員を捕まえる事を目的にするべきだろう
もっとも、始めに取りこぼした私が言うべきことではないが……
その辺の事は二人とも良く判っているだろう
キロスは、作戦の打ち合わせに所々参加しながら、二人の様子を見守る
二人が話すたびに切り替えられる画像
重要なポイントしか話さないスコールと
肝心な部分をぼかすラグナと
……話が通じているのが奇跡的だと思うのだがね
エスタ側とバラムガーデンの主要人物での作戦といっても、実際にガーデン側から来ているのはスコールだけであったし、エスタの方も機械と科学的見地から説明をする科学者以外は、ラグナとここでこうして状況を静観しているキロス以外に人が居ない
「どれくらいの戦闘能力を持ってるかってのは不明なんだよな……持ってないって可能性も捨て切れないけどよ」
「そっちの方はこっち側で引き受ける」
めまぐるしく画像が変わる
「……………4カ所ってところか?」
「そうだな、一つは別の所に通じている」
ある一カ所で、画像が停止する
一つだけ離れた場所で見つかった脱出口らしき場所
洞窟の大きさから判断して、この場所は、逃げ出して来た者達が安全に他の場所へと移動する為の隠された通路と言った所だろう
「ここを使えば、封鎖しに行くのも楽かもな」
……封鎖は、少し違うだろう
「正面の方は、そっちで固められるな?」
細かいことは気にしていないのか、それとも気にしない事にしたのか、スコールがマイペースで話を続けている
ラグナが、キロスへと視線を移す
「しっかり包囲を固めて置くことにしよう」
海上はもちろん海中の方もな
「んじゃあ、その辺は頼むわ」
…………………ラグナ君、君は何をしているつもりなのかな?
返事の分かり切った問いかけは声に出すのも馬鹿らしく言葉にするのは止めた

「って所だ」
洞窟内部の映像が一通り映し出される
「細かい所はわかんねーが、ここまで判れば何とかなるだろ?」
暗黙の了解で、洞窟内部へと踏み込むのは、彼等二人と決まっている様だ
「……ああ」
実力から言って問題ないとは思うが……
「二人で全域を回るのは無理では無いかな?」
主力だけ先にどうにかしようと思っているかもしれないが、この場合出口で待機している人間に負担が掛かるんだがね
「そっちの方にはSeeDを回す」
「そうだなぁ……こっちは人手が足りないからな」
エスタ軍は、ウォード共々もしもの時に備えてエスタに残っている
「SeeDでは役不足になるかもしれないが、それが無難だろうな」
戦闘力の無い集団の集まりと決まった訳ではない
それに個々人に戦う能力が無かったとしても、戦う手段は山の様にある
「人員の選択は任せるからな」
ラグナがスコールに言い、スコールがなぜかキロスを見つめる
私は、彼等の詳しい能力は判らないんだが……
「期待に添える様、努力してみよう」
……どうにかなるだろう
 

 
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