英雄と夢想家
(要求)
焦土と化したはずのエスタへの入国は相変わらず制限されている
当たり前ね、攻撃を受けたんだもの、必死になって守ろうとするわ
バラムガーデンの方は空を移動し、場所の特定をすることが出来ない
セントラの忘れられた技術
逃げ回っているばかりで、攻撃を仕掛けようともしないSeeD達の姿
エスタもたいした事が無かったけれど
SeeDなんて言ってもたいした事は無いのね
私達には適わないって思っているのか
もしかしたら、私達セントラの民に敬意を払っているのかしら?
もし、そうだとしたら素敵だわ
私は1人極上の笑みを浮かべる
そこまで愁傷な気持ちになったのなら、すぐにセントラの遺産を渡してくれるわね
「各国からの返事は届いたかしら?」
世界へメッセージを発信してから2ヶ月余り
私達の正当な権利を認めさせる為、
世界中に散らばる国々へ、個別に人や文書を送っている
もう返答が返ってきても良い頃だわ
「いえ、それが……」
怒りを抑えた表情で、現在の状況が判る
…………そう
「いいわ、それなら彼等に教えてあげるだけよ」
私は世界へ向けてメッセージを送る事にした
あの時と同じようにすべての回線を乗っ取って世界へ向けて発信される映像
「私達から奪い取ったものを返しなさい」
私は、あの時の同じように、淡々と語りかける
「セントラの遺産は私達のもの」
感情を抑えて、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す
「決断なさい」
全世界の人々に選ばせてあげるわ
「自らの手で返却するか」
これから先の運命
「それとも、あなた方がかつて行った報いを受けるのか」
できるならばこんな手段は執りたく無い
けれど、それが必要ならば私は躊躇はない
「長くは待てないわ」
充分すぎる程の年月を私達は待っていた
「セントラが滅んでから百有余年もの月日が経ってしまったわ」
そして、セントラの民は、セントラそのものを知らない人達が多くなった
「一週間の時間をあげるわ」
私はそっと、合図を送る
世界中の人々が目を通している映像には、巨大な兵器の姿が映っているはず
「セントラの遺跡を返還する手段を選びなさい」
これが最後の通達
一週間もの時間が有れば充分でしょう?
「あなた方の決断を楽しみにしているわ
電波が途切れる
もうすぐセントラは復活する事が出来る
ラグナサイドへ スコールサイドへ サイドα
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