英雄と夢想家
(エピローグ)


 
セントラから吹く風がささやく
 
『セントラに残ったのには理由があったの』
『今はもう、誰も知らない理由』
『セントラに生き、100年前にセントラを離れてしまった人達は、誰にもその理由を話さなかったから』
 
そっと目を伏せた女性の姿
 
『今もセントラに住む人と話をしたことがあったわ』
『記憶も残らない位、遠い昔の話』
『セントラに住む人は、セントラに生きていることを誇りに思っていたの』
 
洞窟の中に静かに響いた
 
『一つだけ思い出したことがあるわ』
『“約束”だって言っていた』
『それともう一つ、鍵を返さなければならないって』
 
あの日の幻の声が聞こえる



 
 
 
 
 
 

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