英雄と人形
(記憶)


 
良く見かけるモンスターが数匹、凶暴なモンスターが1匹
満身創痍の人間達が数人
捕獲したモンスター達が、檻の中へと投げ入れられる
モンスターを封じ込め男達が去る
幾度と無く繰り返された日常
私もいつもの様に、私の仕事を始める
幾度と無く繰り返した作業
新しい作業、古い作業
増えていく疑問
判明していく事柄
私はずっと、忙しく働いていた
………最後の日が来るまでは……

施設内から全ての明かりが消えた
建物の中から最後の人の気配が消える
普段は聞こえない筈の、静かな震動が聞こえてくる
たった一つ動いている機械の音
結果を出せず、期限に間に合わず
取り残された機械の数々
安全が確認されるまでの時間
もう一度研究が再開される迄の時間
その時を待って、私達に与えられる眠りの時間
次第に遅くなっていく機械の音
―――おやすみなさい、また明日―――
全ての電源が落ちた施設内で、回転していた機械が止まる

  

 
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