(指示 SideL)
地図に記されてはいなかった施設の存在 モンスターを生み出すというその存在は、明らかにセントラのものじゃない セントラの地で人がコミュニティを造り、次なる発展へと向かうたびに現れていたモンスター それの出現場所は十中八九スコールが破壊したという施設で間違い無いだろう ラグナは、極秘で施設の確認と始末をつける為、幾人かの役人を招集する それにしても、わざわざ苦労したかいの3割くらいはなくなったかもしれねぇなぁ 真っ当に使える様になった旧施設の中で出した幾つかの指示 セントラに蔓延るモンスターの妙な動きのトレース セントラの何処かにあるだろう負の遺産の特定……… そういった類の事はスコールの活躍のお陰で意味を成さなくなった ま、モンスター工場の正確な位置が解ったんだ、細かいことが解りやすくなかったかもしれねぇな あっちには後で連絡を入れるとして 会議室へと集まった彼等の顔をラグナはじっくりと見渡す 「少しばかり厄介で重要な情報だ」 ラグナの言葉に辺りの空気が僅かに緊張をはらむ 「セントラ西端にモンスターを創り出す工場が見つかった」 一様に目を見張り驚いた事が知れるが、誰一人声を発し話しを遮る者はいない 「結論から言えば、その施設は既に破壊された」 何が起きたのか簡単な説明をしながら、ふと気が付く そういや、正常に施設が動いていなかったって話だったな 前回の集落の崩壊は多数のモンスターの姿が目撃されていたって事は、その当時までは機械は正常に動いていた可能性は高いよな? だとすると、モンスターに仕掛けた時限装置が上手い具合に働いたったことか? ―――ま、スコールが破壊した所以外に工場が存在しなければ、って話だけどよ ただ、エスタはセントラの東にある 当然セントラを観察し続けていたあの施設もセントラ大陸の東に存在する 西の端、人が立ち入る事のない閉ざされた場所 長い間その存在に気づけずにいるには充分な条件だ あるとしたら似たような場所 少なくとも東側には気味の悪い工場は存在しない 「では、その工場の?」 話を聞いた彼等から反対する声は上がらない 「誰にも気づかれないように極秘で進めなければならないな」 キロスの言葉を始めにして、工場を秘密裏に処理する為の作戦が上げられていく 「ああ、そういや、中は幾つか崩れ落ちてるかもしれねぇって話だ」 「機械の状態を確認出来ない可能性がありますね」 確認が不能な場合の処置がすぐさま話し合われる 幾つか示される提案 それに対する意見の数々 長い間かかって話し合いが行われ、すっかり日が暮れた頃に結論が出た 「後の事はよろしく頼むぜ」 了承の返事を聞いて、漸く会議は終了した お聞く伸びをして会議室を出ようとするラグナの耳に 「これでセントラに発生するモンスターが減るかもしれませんね」 誰かが呟いた言葉が聞こえる ―――モンスターの減少 そうなればいいんだけどな 工場の役割は、集落を滅ぼすためにモンスターを大量に投入する事……… その為だけに造られた場所だとすれば、工場を破壊したからと言って今現在存在しているモンスターに影響は無い あそこには月から来たモンスターが生息している あるいは、その子孫が存在している ラグナは窓の外へと視線を向ける 月が、不気味な笑みをたたえている 窓の外薄闇の中に見える、巨大な月の姿 モンスターの住む世界が不気味に輝いていた |