英雄とセントラの謎
(疑問 SideS)


 
セントラの地に潜んでいた不快な施設
モンスター製造工場は破壊した
あんなものが存在して良い筈がない
それは当然の認識、当然の思い
あの場所が半ば機能していなかった事が気になると言えば気になるが
あれがセントラに蔓延ったモンスターの元凶だというのなら、コレで異常なモンスターの発生は抑えられる
そうラグナに告げた
ラグナは、報告をしてくると言って部屋を退出していったが、告げていない事が在る
最後に現れたモンスター
あれは確かにモンスターだった
けれど同時にあれはモンスターでは無かった
矛盾する2つの事実
倒したと告げたモンスターは、スコールが決着をつけた訳じゃない
アレは、自分が放った攻撃の残滓に巻き込まれた
あの時出現した不思議な色合いをした空間
そして全ての消失
消し飛んだのか、空間に歪みが生じたのか
何が起きたのかは解らない
予測できる事が一つ
瓦礫一つ残らないあの光景は、あいつの仕業じゃないかいうこと
もしかしたら、セントラの消失も月の涙では無く………
全ては推測
解っているのは、あの場所でモンスターが生まれていたということ
モンスターを生み出していたあの施設はじきにエスタ軍の手が入るだろう
崩壊したあの場所が見せるのは無惨な光景
ただそれだけ
それだけの筈だ
きっと、あの場所を破壊したことに対しての批判の声は上がらない
あの施設を肯定する様な発言は非難の的になるだろうから
それに、多分エスタがあの存在の事は綺麗に隠匿するんだろう
気持ちのよい行為じゃない
けれどソレが必要な事は理解している
それに………
あの遺跡、セントラ時代のものだとは思う
だが、セントラが作ったモノだとはどうしても思うことが出来ない
あの場所全体に蔓延っていた気分の悪い気配
建物の構造、作り
そしてあの施設が行っていた事
感じとった様々な違和感
それらが告げるものは、あれはセントラの遺産じゃない
それなら、何かと問われれば、代わりの答を出すことは出来ないけれど
多分違えることのない事実
ここで考えて居ても仕方がない
スコールはため息と共に席を立つ
視線を転じた窓の外に、月が大きく姿を見せていた
モンスターの住む世界が不気味に輝いていた
 
 
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