英雄とドール
(移動)
予定を変更する
SeeD達へと言葉を掛ける
メンバーの一人の提案によって、他の者達へは行き先の変更は告げない
元々、明日の日程を公開はしていない
移動先へ記者が待機していることも
予定の場所へと行かなかったからと言って、責められることはないだろう
「行き先はどこに?」
僅かに眉をひそめたが、SeeDは特に何も言わずに変更を受け入れる
「行先は………」
私はこっそりと、手を差し出す
SeeDは心得たように手の中の紙を受け取る
「エスタ側で待機している」
彼の言葉に、私は頷いた
「彼の屋敷だそうだ」
ラグナの言葉に、スコールは眉をひそめる
「見せたいものがあるって話だぜ」
セントラ時代の品物
「それはそこに行かなければ見れないものなのか?」
「そうなんじゃないか?」
そうじゃなければわざわざ招待なんかしないだろ
ラグナの言葉にスコールは少し考え込む
スコールがテーブルの上に渡された紙を広げる
簡略化された手書きの地図
「ドールの地図は持ってるか?」
ラグナの声に地図が渡される
「お、さんきゅ」
「住宅街だな」
高級渋滞街らしく隣り合った家との距離は空いているが、極普通の民家が並ぶ場所だ
この辺の情報なんてのは収集して無いよな
ラグナの視線を受けたウォードが肩をすくめて見せる
「家自体は大きな屋敷の様だが………」
渡された地図を見ると確かに敷地自体が大きいみたいだ
こりゃ、外から警備をするってのは無理だろうな
もし何者かが襲ってくるとしても迎え撃つのは屋敷の中だ
「中の設計図は貰わなかったのか?」
「渡されたのはこれだけだ」
………わざとって訳じゃなく思いいたらなかったんだろうな
同じ意見なんだろうスコールも溜息をこぼす
「だとすると、確認するしか無いよな」
全部見て回るのは無理だろうが、ポイントになる場所を抑える必要がある
「それはこっちが引き受ける」
ま、俺が見て回る訳にはいかないもんな
「何か起きたらスコール達はこの家に住む家族の保護に向かってくれ」
ラグナの言葉は、ある程度予想できたものだ
仕事として依頼された内容はラグナを守ることだ、だがラグナならある程度の事は自力で解決できる
それでも
「誰もいないかもしれない」
「それならいいけどな」
彼等は警備を依頼してきたが、無差別に攻撃してくるようなそんな状況は考えてもいない
「気になることでもあるのか?」
スコールの問いかけにラグナが宙を見上げ首を捻る
「しいていえばカンか?」
あんたのそれは本当にカンなのか?
「ま、なんとなく街中の雰囲気が落ち着かない状態だってのが気になってはいるんだけどな、まあそれは、俺達がここにいるからってだけかもしれねぇし」
落ち着かない空気は昨日ここに来た時から感じていた
風神によれば、それ以前、エスタの人間がここに来ると解ったときから落ち着かなくなったという話だ
「関係ねぇかもしれないけどな」
「いや、可能性は考慮する必要があると思う」
「なら頼んだ」
スコールは少し考え込む
下手に断って動かれても困る
「解った」
仕方なく承諾するとラグナがウォードを呼んだ
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