(森)
植えられた木々の適度に空いた間隔 少し歩きにくいが、歩けない程ではない地面 天を見上げれば、木々の隙間から空が見える 足を踏み入れる程に 奥へと進む程に、整った空間が姿を現す ここは 人の手が入ったことのある場所 森の奥には何かがあり きっと何かが居るのだろう 念のために 辺りを警戒して 武器へとかけた右手は一度も使われてはいない ここへと足を踏み入れてからまだモンスターと出会ってはいない モンスターが居る気配も感じてはいない 一度もモンスターに襲われない モンスターの気配を感じない そんな事はあり得ない そんな体験をした事が無い この森にはモンスターが居ない ………少なくとも一頭、他のモンスターを駆逐したモンスターは存在している それが、目撃されたモンスター 折れていたらしい木の枝が足の下で曲がる 視線を落とせば、目に見えるのは微かに出来た道 誰か―――何かが通った後 ここに何かが居るのは間違い無い 遠くで何かが音を立てた気がする 足を止め、耳を澄ます 枯れ葉がこすれる音 生き物の気配 右手が柄を握る 息づかいが聞こえる ………………? 互いに確認する様に視線が合う 右手を離すのと同時に遠く子供の姿が見えた
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