英雄と情報
(おわり)


 
遺跡を回る
その夢を実現するのは難しかった
それでも夢を諦めることはできず
誤魔化しのように選んだのは
なんでも良いから遺跡に関わること
金もコネも無い私が行くことが出来たのは
調査する意味も残っていなかったような、遺跡の残骸
正直そこを調査したからと言って何の益にもならないことはわかっていた
けれど………
私は、唖然として新しい職場を見渡す
見たことの無い建物
見たことも無い機械
エスタという国はいろいろと違っている
そうは聞いてはいたが、こんな風な国だとは思っても見なかった
ぽかんと口を開けて辺りを見ていた私に声が掛けられる
「案内します」
数歩先で立ち止まった職員―――同僚になるのだろうか?―――が私へと声を掛ける
「すみません」
わざわざ足を止めさせたことを詫びて彼の元へと急ぐ
「いえ、他国から来た方の反応は同じですから」
慣れているとの言葉に私は内心首を傾げる
他国の人間がここまで足を踏み入れることがあるんだろうか?
疑問に思いながらも聞くことは出来ず、彼の後に続く
私の職場となる場所へと続く道
道筋を丁寧に説明しながら案内をしてもらい
奥まった扉の前へとたどり着く
「ここがあなたの職場になります」
扉の奥からなにやら声が聞こえてくる
「ま、大変だとは思うが、がんばってくれ」
そういって私の肩を叩いた
その理由を私が知るのは少し後の事だった
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
おまけへ  もう一度はじめから