英雄と敵
(停止)


 
微かな音と光
動き、止まる
不規則な稼動音
再び動き出した機械が、不穏な音を立てて止まる
数秒後、高い音が鳴り響く………はずだった
鳴ったのはくぐもった微かな音
動いていた機械の壁面に点る赤い光
そして、文字らしきもの
不規則な音が止まり、光が消える
しばらくの沈黙の後、またちがった音が鳴る
呼び出し音に似た音
音は鳴り続け、止まらない
ずっと長い間、微かな音だけが鳴り続ける

音が止まる
音を鳴らし続けていた機械が止まると同時に、仄かに灯っていた明かりも消える
訪れるのは静寂
明かり一つ届かない真の暗闇
どれだけ長い時間を待っても、止まった機械が再び動き出すことはなく
ただ静寂だけが辺りを支配した

 

 

 
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