エスタ夏の観光地!
 観光地候補の選出が行われるのは、来週の事だった
 「夏場にの雪山ってのも涼しげだよな!」
 ラグナのその一言で、彼等はエスタ国内のとある高山へと来ていた  
「んー、空気も綺麗だし、景色もいいんじゃないか?」
 確かに、そこは、一枚の絵画としてみるのならば、これほどすばらしいものはないだろうと思えるものだった
 だが………
 「ちょっと来るのが面倒だけど、その辺はどうにかなるよな?」
 エスタ中心部の周囲に存在する山脈は幾重にも重なり奥まった山にたどり着くには多少の努力が必要となる、が
 『それはこの場合問題じゃないだろう』
 盛り上がるラグナをウォードが押しとどめた
 「どれが問題だよ?」
 振り返ったラグナの目に汗を流し暑そうに立つウォードの姿が映る
 ………………
 『見た目に涼しくても実際にすずしくなければ意味がない』
 暑い季節とはいえ、雪山に向かえば涼しいよりも寒いだろう、その上夏の雪山にはさまざまな危険が待ちかまえている
 涼しげな雪山が見える近くの山というのはさほど標高の高くない山で………
 「これじゃあ涼しくないよな………」
 そう言うラグナも先ほどから汗が止まらずにいた
 『その通りだ』
 「仕方ない、ここは諦めるか」  
 こうして、高原の避暑地の実現はならなかった  |