釣り場の説明においてポイントという言葉がある。釣り用語に直訳すれば"釣れる場所とか地点"になるのだろうが、釣り雑誌などに見る釣り場紹介のポイントとなると具体性に欠けるものが多く、参考にならない場合もある(特に航空写真ポイント集など)。今回は中通し釣法ベストポイントと釣魚(主にクロダイ)の関係を探りながら、庄内中通し釣法による好釣果要因を解明したい。 |
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常連には大物多し
私はよく魚の世界と人間社会を混合して考える癖があるが、見方によっては面白いのでその一例を紹介しよう。
ポイント図を説明する場合でも私達が住む街の地図と同じく建物(ハエ根や沈み根など)があり、道路(釣り座の足下を含め魚の通る道)があり、通行(魚が回遊する)がある事を前提にしている。外見上、見た目が良くてもゴーストタウンでは論外なのだ。
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まず、図のA・B・C・Dを見てほしい。Aは普通のl本道、BはT字路、Cは十字路でDは広場とかグラウンドだ。これらの道路や広場を人々が往来した場合、※印の地点が混雑したり通行量が最も多くなるのはC-B-A-Dの順になると考えられる。従って人を魚に、※印を釣リエサに置き替えてみると食い付く確率の順位も基本的には同じになる訳で、特にCの※印は底物や根魚の場合には最高のポイントとなり実績もピカーだ。勿論クロダイにも通用するベストポイントだから、初めての釣り場でもこれに近い状況のポイントを探す事だ。
釣り場に置き替えて図解すればAはイ、Bはロ、Cはハ、Dはニのようになるだろう。
以上の地形的な条件プラス潮流とサラシ、それに水深などの諸条件が加味されるが、原則的には水流下方より魚が回遊してくるので、タックルを含め仕掛けの流し方を工夫する必要がある。複雑な根周りや岩礁帯を回遊し索餌するクロダイは、人間で言えばいつも見る町内の常連達で潮汐にはあまり左右されない。ほぼ一定のパターンで回遊しながら岩に付着している貝類や近辺に生息するウニ、イソメ、カニ、エビなどを常食している強者が多く、地元の親分格だから釣れるとデカイのだ。それにこのようなポイントだとコマセの効果も加味され、群れて回遊してくる団体のオノボリさん達も分散せずに餌付くので大釣れする確率も高い。
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反面ニの場合だと足下の根周りを除き、潮流とサラシに集まる不特定多数のクロダイ達を狙うのだから、庄内中通し釣法でもフカセにして仕掛けを送る事になるため、ウキ釣り釣法に分がある。ただニのような広場に集まるのは、グループで遊びに来る小・中学生が多いから釣れるのも2〜3才物が主だ。
ウキ釣りの場合、水流をウキが感知し自然に仕掛けをポイントに案内してくれるため"攻め"の釣りと言えるが、餌付くポイントは刻々と変り、時として釣りにはまるで不適な条件に変る事があるため、足下釣りに変更する場面も多い。こんな場合のウキは無用の長物となり、この時こそ庄内中通し釣法が威力を発揮する。
庄内中通し釣法の場合あらかじめポイントを定めて仕掛けを投入し、魚の回遊を待つ釣りだが、水中の状況と流れを読めずして好釣果は望めない難しさもある。
ウキ釣り釣法が「動」なら、庄内中通し釣法は「静」と言えるかも知れない。いずれにせよ諸条件に合わせたどちらの釣法をも駆使できる人こそ、釣りを数倍楽しむ事のできる喜びを知る釣り人だと思う。 |
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