「位臭流温色質」とは?
「水位」
水位の変化は月の引力による潮回りからなるものと、風及び波の変化で生じるものが代表的だが、水位の変化状況で釣れる魚とそのポイントが変わるのだ。
「水臭」
潮の臭いが好きだと言う釣り人も多いがその臭いの定義づけは難題だ。どんな臭いなのかは表現的に個人差があるが、たぶん塩と磯や海水中の生産物、それに多くの老廃物などがミックスされた臭いで、バランスがとれていればこそさわやか(?)な臭いであるが、人間ばかりか、魚も遠ざけてしまう悪臭も存在するはずだ。
「水流」
日本海には暖流と寒流が流れている訳だが、水位と関連もしてくる。月の引力による潮の動きで生じる流れが釣りの場合に本流と称し、上り下りに2分される。庄内の場合はさらに”入リ”と”出る”がプラスされる。この本流から枝のように分岐された流れを支流とも言うが、この支流は波と風、それに河川の流れも作用するし、水温の変化も関連する。私自身は本流と支流を”潮流”、磯周りに生じる流れやハライ出しは、”水流”だと思っている。名称はともかくとして、これらは魚の行動を大きく左右する要因となっている事は事実だ。
「水温」
時期によっては「水温1度の変化は、気温にすると10度の変化に値する」と言われる。従って魚の活動と就餌に大きく影響する訳で、水温が急に大きく変化すると活動の停止どころか死に至るので、釣りの対象にはならない。
「水色」
水色が変化する原因は余りにも多いので釣り場における代表的な例に絞る。まず、雨により河川から流出した泥や、底荒れの波により海底から浮き上がる砂泥や沈殿勿などによる場合が殆どだが、波がなくても濁リ続けているのは潮が寄っているためで、地磯では濁りを好むクロダイも釣れない。同じ濁りでも、その性質が釣果を左右するのだ。
「水質」
水の質となると、多くの専門的知識を要するが、釣り人が知っておきたい要件となれば、次の3点ぐらいだと思う。
@塩分濃度と塩の質
塩分濃度が適正で、塩の質が良ければプランクトンの増殖を促し、雑魚の成長を助け、これを補食する大型魚が自然に寄ってくるという理想的なパターンとなる。しかしこれが反対のパターンになれば・・・。
A「水中酸素」
酸素が発生しなければ魚は活性を失い、就餌どころか動けなくなり、最悪の場合はやはり死に至る。
B水質の悪化
川の場合、「水清ければ魚住まず」と言うが、海水に限リ水は清い程魚族は増加繁殖するはずだ。 |
クロダイ釣りに当てはめると...
「水位」
水位と潮位は本来異なる性質だと思うが、その分類は別として、月の引力が最も作用する満月と新月の時期に潮位の干満による増減差が一番大きくなる。これに伴い潮流も速くなる訳だが、この差が最も大きい大平洋側では数mにも及ぶため、この潮位を知らずしての釣行は危険だ。
沿岸で釣れる多くの魚族は水位の上昇と共に磯周りに寄ってきて、下降に従い遠ざかるのが普通だ。しかし一部の魚は水位が下がると河口とか防波堤にエサを求め集まる。なぜなら海面水位が下がると河口では川から流出する水流が速く、しかも水量も多くなるため、高栄養素が含まれたエサとなるプランクトンなどが海中に放出されるからだ。また提防のり壁面水中に付着していた貝などの生物が水位の低下で露出するため、酸欠で(水中生物は空気中で酸欠となる)海中に落下してくるのを魚族は知っているのだ。
「水臭」
水中における臭いを感知する魚の臭覚は相当なもの。その代表的な魚であるサケは、たとえ数百キロ離れたところからでも自分の生まれた川に戻ってくるのは、生まれた川の臭いを記憶しているからで、各種の実験でも実証されている。あらゆる魚種はサケほど明確でないにせよ臭いに敏感で、時にアミノ酸系の臭いを好む(イソメ類、オキアミ類に混含される)ので、これらが釣りエサやコマセに有効な訳だ。
魚が臭いを感知するのは人問と同じく鼻孔であるが、魚体の側線がレーダー的役目を果たしている。この側線によってエサーつにしても、直接口に含まなくとも自分の好物か否かをあらかじめキャッチしてしまうのだが、もし水中に悪臭を発する物質や要因があれば魚を遠ざけてしまう。特にヘドロ化した海水に魚は生息しなくなる。
「水流」
通常は大潮の期間に沖潮の流量と流速がアップされるため、泳ぎの得意な魚(イナダやマグロのように紡錘型の魚)は活発に動き回るため、当然ながら就餌活動が旺勢になる。しかしやや泳ぎの苦手なクロダイなどの平物は流速の緩い支流や岩碓帯に逃げ込んでしまう事が多いので、特に沖磯では一時的な潮止まりや動き初めの時合いしかチャンスはない。
一般的には潮流が比較的緩い小〜中潮時が全般に好釣果を得やすい。ただし潮回りで生じる潮流の他に、水温と風波の影響で生じる複雑な水流も加味されるので、出来れば同じ釣り場に何度も足を運び、どのような潮流とハライ出しが有利かをチェックするのが潮を読む上達の早道だ。
沖潮がその季節に適した方位に流れている場合は、たとえ釣り座に駆っ込む不利な水流でも、ポイントとタックルの選定次第で釣果は期待できる。
図1は沖潮の理想的パターンの一例
図2は駆っ込み水流時のポイントとタックル選定の一例。 |
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「水温」
グロダイ釣りに適した水温は一般的に16〜20度と言われるが、私自身の実績からすると9〜28度とかなりの範囲で釣れているので余り気にする事はないと思う。短時間での大きな水温の変化は釣果を左右するので、次の場合などはあまり釣果は期待できない。海面と海底部の温度差が大きい春や、初冬に海が荒れた直後で、急に水温が抵下した時。反面、水温が高い夏から早秋にかけて大荒れした時は水温がやや低下するので、河口を含め釣れる事が多い。
庄内の場合、地磯でのタロダイはl月の初旬で終るが、佐渡や男鹿半島、青森の磯では3月初旬までは釣れる。その理由は水温の違いであり、暖流の影響が大きい(図3)。
それぞれの魚は自分の適水温に応じて回遊するが、クロダイの場合眼球に脂瞼(しけん)(脂肪模)がつきはじめると水温の低下を自覚?するのか、越冬のために適水温海域に移動するか、あまり潮流と水温変化の生じない水深のある沖の根などのヒビや穴に入り越冬するものと思われる。 |