高校での小生は,中学の最後で芽を開いた陸上長距離に一層の磨きをかけた。 小生の高校は定時制高校ということで4年生もいる。 中学と同じように陸上競技大会が毎年行われる。 ただ高校は学年別ではなく全学年同レベルで競技する。1年生よりは4年生の方が体も大きいし,体力も当然まさっている。 クラブ活動においても運動量そのものが違うので当然といえば当然ではあるが。 そんなハンデがあるにもかかわらず小生のクラスはなんにしても成績が抜群であった。 校内のソフトボール大会,バレーボール大会,駅伝大会,陸上競技大会などいずれも4年生チームと互角に戦い名勝負を繰りひろげた。 体をうごかす競争に関しては上級生チームに一歩もひけを取らなかったのである。 ただ珠算大会だけは別で、まったく駄目であった。 これは問題外である。 例によって春先に行われる陸上競技の校内大会に,小生もクラスの代表として出場した。 ![]() 種目は5000mである。 中学での長距離というと1500mと3000mであるが,高校になると1500mと5000mにかわる。 5000mというのは未経験の距離であったが,なんと校内で2位に入った。 1位は4年生だった。 まあこれはしかたがない。 なんたって4年生だから。 分校対抗の連合陸上競技大会には1位になった4年生と小生の2名が5000mの選手として出場。 連合陸上競技大会というのは,小生の学ぶ高校すなわち村上高校にある分校(4校)と本校の定時制夜間部の計5校による対抗である。 それをクリアすれば,今度は定時制の県大会に進むことになる。 その上は定時制の全国大会になるが,まあそこまでは考えなくていい。 連合陸上競技大会に出場した小生。 なんとそこでも2位に入ってしまう。 校内1位の先輩を押しのけて全校で2位になってしまったのだから,自分でも驚いた。それまで練習も毎日その先輩と一緒にやらしたもらったのだ。本人も知らない間に実力をつけてしまった。 今思うと記録的にはたいした記録ではない。 確か17分10秒だった。 今では中学生でもこれより早いのでは。 県大会に備えて,連合大会から選ばれた選手は夏休みに合宿も行った。 海岸をダッシュしたり,自転車のチュ−ブを足に縛って筋肉を鍛えるといった練習を行った。 小生の朝日分校からは 男子5000m小生 男子1500m同級のI君 男子800m4年生のNさん 女子100m200m400mリレー同級のHさん 女子走り幅跳び400mリレー3年Nさん の5人だけだと記憶している。 県の大会ではやはり小生の実力はまだまだ足りず入賞すらできなかった。 たぶん10位くらいだったと思うが。 女子のHさんは大活躍で,100mとリレーに1位。 総合女子の部でわが村上高校が優勝であった。 女性上位の村上高校。 校内の陸上はそれ以後はあまりぱっとしなかった。原因は専門の知識をもったコーチがいなかったからだと思っている。たまに先生が片手間に教えてくれる程度で,練習のメニューなども自己流であったから翌年以降は他の分校にかなわなかった。 国体にも出たこともある先生がはいったS分校が活躍した。 小生達はその後は,村の青年団の駅伝,陸上大会が活躍の舞台であった。 なにせ現役である。 学校を卒業して2年,3年たった大人達は普段走ってないから小生達の相手ではなかった。あるときは村の地区対抗青年団陸上大会で1500m,5000m,1600mリレーとオール1位になったことがある。 同級生のライバルが欠場していたせいもあるが。 小生はどちらかというと1500mはあまり強くない。長いほうが得意な方であった。 また青年団の大会のときは,終わった後必ず打ち上げをやるので嬉しかった。勤労学徒ということで,もう大人として認められていた。 だから酒の席でも小生など落ち着いたものであった。 そんなこんなである年の年末。 ![]() 村上市の元旦マラソンに出てみないかという話をいただいたのである。 メンバーは同じ駅伝仲間の同級のI君,K君,下級生二人と小生の計5名。 青年団の駅伝の役員をしているTさんが申し込んでくれた。会場までの送迎もTさんが引き受けてくれた。 その当時元旦マラソンが世界的に話題になったことがあり,その中でも村上市のそれは経度の関係上世界で一番早い元旦マラソンと言われていた。 近隣のいろんな学校または一般からの参加者は相当な人数であった。 またそのレベルも相当に早い人が多いとされていた。 一度は走ってみたいもんだと思っていたが,いいチャンスに巡り合ったものだ。 自分の力を試してみるのも楽しみだった。 元旦の午前0時にスタートなのでたぶん10時くらいに出発したように思う。15分くらいで会場に着く。すぐ側の公民館が参加者の控え所に当てられていて準備をしていた。 軽いジョギングで体をほぐしてスタートを待った。 いよいよスタート。 まあ若いのは元気がいい。ドンのピストルと同時にロケットのようにすっ飛んでいくのもいる。 小生達は様子がわからないのでとりあえずマイペースで。真冬であるし,積雪もあった。 道路はある程度は除雪してあるが積もってはいるので雪の上を走ることになる。 シューズが滑り気味でやや走りにくいが気温が低いので気持がいい。 中盤までは押さえ気味に走った。 気がつくと仲間は離れ離れでどこにいるやら。小生の前には行ってないのは確かだが。 さてと。 だいぶペースもつかめてきたしここら辺から俺の実力を出して一気に 上昇だあ。 と,ややペースをあげはじめた頃。 なんとなく腹の具合がおかしい。 お尻の方にすこし重心を感じはじめたのである。 あれれ。どうしたのかな。 ひょっとして.... そうです。一番恐れていた事態がおこったのです。 思えば小生。 お腹にはひとかたならぬ配慮をしてきました。陸上大会の日の朝下痢ピーになり,スタートの前に何回もトイレに行ったこともありました。 普段食べたことのないパンと牛乳の昼食をとったために,大変な目にあったこともありました。 今日の場合は...と考えてみるに。 そういえば夕食に力が出るようにと珍しく肉を食ったんだわ。 日頃食えないもんだから,珍しくて理性を失ってしまったんだ。 まいったなこりゃ。 スパートするにもふんばりがきかねえ。 力いれると出そうだもんね。 このままゆっくり走るしかねえな。 この時点になるとスパートする人はどんどん追い越して行く。 くやじい。 そのうちペースをあげなくとも漏れそうになってきた。 出口のすぐ手前にどんどん集結してくるようだ。 たすけてくれーっ。 ペースをあげるどころか止まらないで走るのがやっとである。 順位なんてもうどうでもいい。 漏らさないでゴールできれば。 あーあ。 あーあ。 あーあ。 悪戦苦闘の末,なんとかゴールできました。 すぐさまトイレにかけこみました。 心配していた通りパンツにだいぶ漏れておりやした。 くさーっ。 しょうがなくパンツは脱ぎ捨てトイレのごみ箱へ。 ・ ・ ・ 帰りの車の中。 世話をしてくれたTさんいわく。 みんなもうちょっと頑張れると思ったけどなあ。 後半は誰に抜かれたかもわからなかったが,他のメンバーもあんまりいい順位じゃなかったようだ。 だけどUNKOのせいだとは言えないよなあ。みっともなくて。 (次回「最初のローン」につづく) |