帰ってくるのは楽じゃない


東京の子供用ニット製品の問屋に5年間勤めていました。

住まいの海老名市門沢橋から会社のある墨田区押上までの長旅、最初にJR相模線で海老名まで出て,小田急線に乗り換え新宿まで。

そこから中央線,総武線と乗り継いで、最後に地下鉄に入って行くという大変な道のりであった。
朝6時半頃家を出て,会社には8時半と2時間の長旅である。

仕事が終わるのが,夜の8時9時もたびたびであった。
まあそのまま真っすぐ帰るということはほとんどなく(なんでだろう),ちょっと一杯引っ掛けるのがエチケットである。

だから新宿の小田急線最終電車にやっと間に合うなんてのもしょっちゅう。
へたすると,小田急線の厚木駅手前の相武台前駅どまりの電車で,そこからタクシー(違反の白タク)なんて時もあった。

いつだかの忘年会の時は,場所は浅草橋だったんだけどなんだかあっちこっち寄り道し新宿方面の中央線で乗り越しちゃって,調布の先まで行ってしまったことがあった。
 ほとんど最終に近く,帰りの電車がない。

国道20号線だろうと思われる道をだいぶ歩いて,やっとタクシーを拾い,新宿まで帰ってきて映画館に入る。

たまたま土曜日だったからオールナイトでやっていたのだ。
酔っ払っているから,映画を見る訳でなく、朝までそこで眠った。
朝になって目が覚めて駅まで行き,始発電車で家に向かった。
そんなこともある。

また1日の乗り越し回数の最高記録は4回。

まず新宿で乗り越して初台目まで。

折り返してまた新宿を過ぎて四ツ谷まで。

再度Uターンして今度はなんとか新宿から小田急線に乗り,厚木(厚木でも相模線に乗れる)を乗り越して,愛甲石田(伊勢原の手前)まで眠りまたUターン。

本厚木の先の小田急線は極端に本数が少なく困ったもんでした。

だいぶ時間を費やしてようやく相模線に乗ったはいいが,こんどは門沢橋を通過して倉見まで。

もうここまでくると自分でもあきれ返っちゃいます。

当時、相模線は(というか昔から)冬季間は自動ドアではなく,ボタンを押さないと開かないようになっていた。
不便な感じがするけれど、冬の寒い時はすぐ閉めることができていいのである。

そのせいか、今ではすっかり電化されて夏も押しボタン式になってしまった。(なんじゃそれは)

酔っ払って乗ってきたある日,小生押しボタン式のことをコロッと忘れておった。

降りる駅に着き,ドアの前で立っておったがいっこうにドアが開かず・・・ そのうち動きだしおった。

あらあら。


小生すっかり頭にきて,3つ先の駅で降りるときに車掌に文句を言ったが相手にされず、本当に怒った。

何か仕返しをしてやらなきゃ気がすまなく,寒川駅の前に止めてあった駅員用の自転車をちょっと借りて(あくまでも借りたつもり)乗って帰ってきちゃった。


申しわけありません。ずいぶん前のことです。反省しています。

翌日、ちゃんと駅舎のそばに返しました。

自分ちの近くの駅ですが。




(次回「メンマとニンニクにうずもれて」につづく)