今だったらドーピング



我が友ケロリン

その長い長い戦いを一言で結論づけると、小生は歯が全然悪い。

これは小さい頃から歯を磨く習慣ができなかったこともあるし、極度の偏食のせいで歯の成長に必要な栄養なんぞとれなかったんだろうと思う。

小学校の時から、毎年学年の新学期が始まると必ず身体検査がある。

体重測定で恥ずかしい思いをして、少したつと校医による内科検診と歯の検査があるのである。
虫歯の多い小生。

他の友達はすぐに終わるのだが、長い長い。
医者が大きな声で「右の上、一番Cの1二番Cの3三番Cの1....」
ほとんどが虫歯なのだ。

後ろで並んで待っている友が、「なんて虫歯が多い奴なんだろう」って入ってるような気がして恥ずかしいことこのうえない。

そんなもんだから歯が痛いなんてのは、日常茶飯事であった。

だけど親に「歯が痛くて我慢できねえ」何てことは滅多に言わない。
歯医者につれて行かれるのがいやだったからねえ。
小さな頃からケロリンを常用しておりやした。

今でもあるかも知れないが富山の置き薬というのが家には2,3箱あった。
そこからケロリンを出しては飲んでいました。

その当時はまだ顆粒ではなく粉の薬なので、オーブラットという薄い半透明の紙に包んで飲んだのです。一枚だと破れそうなので3,4枚重ねて包んで。

しょっちゅう飲んでいるものだから結構上手に飲めました。
ケロリンなしでは、現在まで生きていれなかったかも知れないくらいだった。

乳歯が抜けて、永久歯が生えてくるときもちゃんとした場所に出ないで、上の前歯がまっすぐ前の方向に出てきてしまいました。

さすがにその時は母に見つかってしまい、小生も怖くなって歯医者に行きました。前の乳歯を抜いて、新しい歯を方向を直してもらった。

歯医者ってことろは、麻酔の注射がこわいのよね。

ところが、その永久歯の前歯もそのうちに虫歯になってしまい、穴があき、その穴もだんだん大きくなってしまった。

高校1年の時、だんだん色気も出てきて穴の空いた歯では恥ずかしく前歯4本を差し歯にした。
毎朝歯を磨くようになったのは、いつごろだったろう。

はっきりとは記憶にないが中学になってからだ。なんと小学生の頃は磨いていなかったのであるくせえ口をしていたのだろうな。

これじゃ女の子も寄ってはこねえはずだ。

高校時代は差し歯でなんとかしのいだ。

写真を撮るときも口を開けて笑うことができた。
でも差し歯も永久的ではない。

卒業してこちらに出てきて、数年後に前歯の4本のうち2本がダメになってしまい、取れてしまった。

デパートに勤めていた時で、客商売なのですぐに歯医者へ行き、とりあえず保険のきく安い既製品をいれてもらうことにした。

それがダメになったら良いのを入れてもらいますからという約束で。

でもなるべくならずーっと抜けないでもらいたかった。
世の中自分の希望通りには行かないもので、やがてはそれも寿命が尽きることになる。
その後で抜けたときは。

正確には折れたことになるのだが、鶏の空揚げをがぶっと噛んだときにぽろっと折れてしまった。

しかも歯の中に通っている針金だけ残して。小生の歯は、海賊フック船長の手のごとく、前歯が針金になった(1本だけだけどね)。

でもその針金でなんと2年我慢した。自分でもすごい根性だと思ったよ。
前歯が悪いと人相が悪くなると言われたこともあったが、なんとか性格でカバーしようと頑張った。

なるべく人の近くでは笑わないように心がけたり、少し横の方を向きながら笑ったりと結構苦労したものです。ハイ。

学生服の仕事をしている年の商店街の忘年会に出たときに、どっかの子供に「おじちゃんの歯、針金っ」と言われて、「あっ、これではいかん」と一大決心することになる。また歯医者通い。

約半年、毎週1回ペースで通い前歯上4本、下2本、奥歯上左右、下左右とほぼ全部に治療を加えた。

左右の犬歯と前歯の2本くらい残し、それ以外は全部かぶせたり差し歯だったりである。

何年かたち、右の下奥歯にかぶせてあったのが、取れちゃって4月から通い始めた。そこは2週間に1回ペースなので、やはり半年通った。

いやはや書くだけでも疲れるほどである。

まだまだ先はあると思うので、できるだけ現状を維持したいと考えて毎食後必ず歯を磨いている。

会社でも昼食後必ず磨くことにしている。家でも食べた後すぐに磨いている。
これをせめて小学校5,6年の時からやっていればこんなにはならなんだということよ。

でも後悔はしないさ。これから先のことを考えればいい。

虫歯になったおかげで歯医者に行く経験をすることができたと思えばいい。

何事も経験だ。
経験していればそのことを人に教えることもできる。
なんでもいい方にかんがえなくちゃ。

「くじけるもんか、ガンバレー小須田部長!」




(次回「恐怖のから揚げ」につづく