学生服の仕事をやっていて最高におかしく,またそのおかしさをこらえるのに苦しんだのがこの良太事件です。 今となっては,その時の気持を100%言い表すことはとうていできないが少しでもリアルに現場の状況を再現してみます。 ここに登場する良太君(仮名)とそのお母さんには、このページに掲載することを心からお詫びいたします。悪気はございません。ただただおかしかっただけなのです。お許しください。この事件のイメージにぴったりなので、あえて「良太」という名前にしました。 ![]() いつものように、制服あるいはそれに関係する体育着,シューズなどは制服が出来上がった時点で一軒ずつ配達していた。 全部で500〜600軒配達するのである。 配達も事前にお客様に電話を入れて,午前午後の指定ぐらいは受ける。 運悪く留守の場合は,再度伺うことになる。 何回も行くのも面倒で,留守の場合は最後に行くことが多かった。 その日配達に伺ったところが,問題の良太(君)のお宅。 時間は午後2時か3時頃だったと思う。 問題の良太も学校から帰ってきて自分の部屋にいた。 「ごめんください。学生服の○○でーす。配達にきましたー。」 いつもながら明るく,愛想良く。 奥のほうで「ご苦労様でーす」 おかあさんがこれまた明るい返事。 たぶん今日は天気もいいし,気分がいいんだろう。 良太の家は,玄関に入ると割と広い廊下がまっすぐ続いていて右のほうへ曲がっている。奥のほうに居間とか座敷があるのだが,玄関のすぐ前の廊下の左側に良太の部屋があった(まだ子供のくせに個室を持ってやがるなんて)。 生意気なことに(そんなこともないが)扉はドアであった(ドアぐらいはどこにでもあるが)。 玄関に入り,「これがご注文頂いた○○と○○です。全部で○○円になります。」 マニュアル通りにスラスラと必要事項を述べると, 「どうもご苦労様です。ちょっと待って下さいね。」と,しゃがんでいたおかあさん。 お金を取りに奥の部屋へ行こうとして立ち上がりながら振り向き一気に加速して歩きだしたとたん! どんぴしゃりのタイミングで良太が開けたドアに顔面をバーン! ドスーンと倒れたおかあさん ....声を振り絞って,ぼう然とその場に立ちすくむ良太に向かい 「りょっ良太。たっタオルぬらして持って来て...」 良太は真っ青になり 「おかあさんっ...大丈夫?」 大丈夫ではないことくらいは見りゃわかるが人間どうしてもそう聞いてしまう おかあさんそれに答えて再度絞り込むような一言 「だっ大丈夫じゃないわよ...はっ早く...たっ..タ..オ..ル...」。 はっとわれに帰った良太,急いで奥の方へ走りだす。 事の成り行きをじーっと目撃してしまった小生,おかあさんの答えがなぜかおかしく(失礼)て,噴き出しそうになるのを必死にあごを引いて耐えた。 数分後,代金をきちんと頂いて良太家をあとにした小生。 車に乗り次の配達先に着くまでの間中笑いが止まらなかった。 ![]() このころ初めてパソコンを買いました。NEC8801MAという8ビットマシンです。ワープロは5インチのフロッピーを差し込んで、店のDM用の名簿入力の練習をしました。 次回「魔の口臭街道」に続く |