栄光のHITCAP<part2>

不具合が出ると原因と対策でいろいろ苦労しました。原因がわからないこともあり、不安げな表情に表れていますね。
HITCAPというマシン自体があまり全国的に広まってない状態でしたので、操作方法も特殊な面がありました。



HITCAPでの忙しい日々が連日続くある日、営業担当から一通の文書が回ってきました。
HITCAPで作成したデータに不具合があるというものです。
本格的にスタートして半年くらい経った頃だと思います。
OAセンターはN部長がいて、その下にはJ係長そして小生が主任でしたが、J係長は別フロア担当でやってましたので、HITCAPに関しては部長の下が小生でした。
基本的に客先からワープロデータを支給され、それを使用して組み版を行っておりました。その組み上がって納品した仕事の中に不具合があったというのです。しかもそのミスというのは単純なミスではなく、お客様の指示にそむいていて原因がわからないといういささか面倒なことでした。対象個所は全部で5個所くらいあったと思います。


営業担当は客先から相当きつく怒られてきたんでしょう。原因と対策をきちんと提出するようにとのことでした。
その中のひとつは小生が行った覚えがあるものでした。
正式なやり方ではなく、裏技的な処理をやって文字色を白に設定し空白に見せておいたところが後々の処理で、現れてしまったのです。
関係ないところに数字の5が連続して出てきちゃったのですから、客先の担当者が校正チェック中に「こりゃあ何だ?」というわけです。
今考えると、マニュアルの文字の重大性にあまり関心がなかったのでしょう。文字の違いでユーザにしてみれば、大変なことになるんですが、そこまでわかっていなかったのです。


もちろん正直に自分の間違いを言い、反省しました。
他のミスは誰がやったかわからず(誰がやったか突き止めるものでもなく、どういう操作をしたらそうなったのかが問題だったので)でした。
ただ、原因はわからないでは済まされなく、営業担当もつきっきりで検証が続きました。原因がわかれば、それを防ぐためにはどういう操作で統一しようという対策はわかるのです。
最後までどうしても原因がわからなく、N部長も困り果てたのですが、営業担当は納得しませんでした。
3〜4日連続してOAセンターの部屋に来て小生に詰め寄るのです。N部長は直接操作するオペレータではないので、小生のほうへどうしても営業担当の矛先が向いてきました。


ところが、N部長が突然発見したのです。そういう結果になる原因を。
N部長がオペレータといろいろ試して見ているうちに偶然というかやっとというか、確かに普通では思いつかない操作でした。
今となっては正確に覚えてないのですが、HITCAPのTabキーと空白スペースとの兼ね合いで起きた現象だったと思います。空白キーを打っても、Tabキーを打っても一文字分スペースが入る特殊な現象がその不具合の原因になりえるということで、確定はできないのですがそれしか考えつかないという状態でした。
結局、そのように原因と対策を作成し提出したのですが、ややこじつけの感も否めないという文書でした。
やっとの思いで、最初の不具合対策は終わったのですが、それから数ヶ月に一回の割でいろいろな不具合が発生し、その都度営業担当から追及されました。


いやだったのは、それからミスが出るたびに営業の部屋へ呼ばれて怒られるようになったことでした。
そこには他の営業担当が何人もいて、聞かぬふりしてしっかり聞いているように思えました。
もちろん営業部長もおり、一緒になってジワリとせめてくるのです。
小生は、なんで自分が他の部署の上司に怒られるのか納得がいきませんでした。自分の部署の上司から怒られるでしたら、しょうがないのですが。
上の方達の微妙な関係があったのでしょう。(このへんのことはあまりはっきりコメントできないのです)

こんなことが何回かおきました。でも今思っても「チームで意思を統一して行うことの難しさ」をつくづく考えさせられます。
なかなか統一できないものでした。逆にいえばそれは非常に大切なことなのです。ひとつの物件をあまり大勢の人で分けてやるのは無理があると思い、HITOCAPメンバーを3人〜4人のグループに編成しました。

「原因と対策」の提出文書はいつしか綴られるようになり10数枚になったのでした。
不具合の歴史でもあったHITCAP、でも実績もそれだけ多くあったわけです。
今日もキーボードに向かう小生と仲間たちの姿がありました。


「栄光のHITCAP<恐怖の送別会>に続く。