わが社には○友会なる団体が存在しております。 会員は課長以下の正社員・パート社員から構成されており、会員の慶弔・退社などの際にはいくらかのお金がでるという親睦的な会です。 入社しますと自動的に毎月給料から会費を天引きされるしくみになっています。 毎年9月に社内旅行なる行事がありまして、この○友会が主催しています。 会社からも補助金がでます。 ここ数年は世の中の景気にも影響されましてかバスを借り切っての旅行は行われず、同じ一泊でも現地集合現地解散というパターンが続いています。 夕方までに目的地のホテルに集合して宴会を行い、一泊して翌朝解散という日程です。簡単に言うと宴会をしに行くといった感じです。 以前はバス旅行と現地集合を一年ずつ交互に行っていたのです。 また、○友会の幹事長・副幹事長は一年任期で副幹事長が自分の後任の副幹事長を指名して幹事長になります。 執行部はほかに会計が一人、これも幹事長が指名して任にあたってもらいます。 結果的に、指名されたら副幹事長・幹事長と2年間頑張らなければなりません。 基本的に拒否はしないというのがルールです。 なり手がいないと会が存続していかないからでしょう。こういうことが好きな人、苦手な人、いろいろです。 入社して5年目くらいでしょうか。毎年秋の旅行が終わり収支決算がひと段落整理がついた頃、翌年の副幹事長を指名し当人にお願いする段が来て小生にお声がかかったわけです。 来年5月ごろ旅行の下見に行くからという話もそのとき言われました。 7月末で引継ぎなのですが、5月時点での幹事長・副幹事長そして引継ぎで副幹事長になる小生の3人が行くことになっていました。 7月で終わる幹事長は旅行のときは手伝うというのが恒例なのです。いろいろなアドバイスも含めてサポートしてくれることになっていました。 行き先は年明け早々に旅行会社から見積をいただき、日光鬼怒川方面と決まっておりました。 旅行会社は当時2社が競って争奪戦を展開しておりましたが、日光鬼怒川方面の時はJ○Bさんが勝ちましたのです。まあ、これは前幹事が決めてくれたことなんですけど。 幹事長いわく「J○Bさんはこっちの要望を聞いてくれないときが結構あるからやりにくい」とこぼしていました。 その前の年の旅行も同じ旅行会社にやってもらったのだが、そういうことがあったというのです。悪く言ったら「チョンボ」という奴ですね。 おかげで幹事は苦労したというのです。今回も注意していないとあるかもしれません。 というそばから問題が発生! 日光鬼怒川温泉の名物である「日光猿軍団のショー」が見れなくなったというのです。 見積の行程には2日目の見学にちゃ〜んと載っているのに。 猿軍団のショーは旅行の超目玉だったんです。 J○Bさんのいうには、「旅行日の9月第一週の土日は「猿軍団」の夏休みになるんだ」と。 「8月は忙しく稼がなくてはならないので、学校の夏休みが終わる9月に休みに入るんだそうです。 猿軍団の事務所へ問い合わせてみたらそう言われましたので」と他人事のように言ったもんね。 「あんた!見積もりの時に確認したんじゃないのかよ」と思いましたよ。 ああこれなのか。幹事長がこぼしてたことってのは。 そう思いました。 結局猿軍団はあきらめるしかなく、近辺のテーマパークから日光江戸村を選んだのです。 日光江戸村は一応案には入っていたのですが、入場料がやや高かったのではずしたのです。 しかし他にこれといった所はなさそうなので、なんとか他の予算を削ってでも江戸村をいれるしかなくなってしまいました。 5月中旬幹事の下見にいくことになりました。 バス旅行と言うことなので下見も車です。 J○Bさんが借りてきたレンタカーで想定したコースで出発です。 藤沢バイパスから横浜の大黒パーキングで休憩。これも予定の行程です。トイレ休憩が必要なので、どこまでどのくらいの時間を要するかなどを一応メモしながら進めていくのです。 大黒パーキングを出てからは首都高速に入るので都内を抜けて東北道に乗らないと休憩するところがありません。首都高速の渋滞が心配です。 1時間半くらいは覚悟しなくてはならないようです。バスではみんなよく飲みますのでトイレが近くなってしまうのです。ハイ。 この時は飲んでおりませんでしたのでなんなくクリア。 東北道に乗って一カ所休憩をとり、次は昼食予定の下見です。 あらかじめ手配してくれてあるレストランで本番を想定してのメニューです。 そのときは、中華が準備されておりました。 バス旅行となると通常はお弁当のパターンですので、今回は中華でいかがでしょうかねえとのJ○Bさんの案でした。 レストランの担当の方も200人の団体と言ってあるので一生懸命でした。 ビールも出してくれたのです。「いやあすいません。おかまいなく。」一応お断りしてからしっかりといただきました。 「では検討して後日連絡を。」と、そこを後にしました。 結果的に後日、「中華」はよして普通のお弁当にしましたが。 日光に入りいろは坂の急カーブを登り、中禅寺湖へ。 ここでの予定は遊覧船に乗り、反対側の岸でバスが待っているという想定です。 湖を半周くらいして岸に着くコースでした。 5月の連休過ぎでしたので、他に環境客もおらず我々一行4人の貸切状態でした。 いざ乗って出発岸辺の向こうの山の景色を眺めているうちに小生「紅葉のない山の景色はなんてつまんないんじゃないの」という気分になっていました。 中禅寺湖と言えば紅葉に囲まれた湖と決まっているじゃあ〜りませんか。 「どうもありがとうございます。その節はよろしくお願いします。」案内の方からみんな一枚ずつ名刺をいただき、湖を後にしたのです。 「遊覧船はつまんねえよ。止しましょうよ」の意見に一同賛成。 小生の案でやめることになりました。 遊覧船の予算を江戸村に回せるもんね。 「貸切で案内してくれた船長さんが聞いたら怒るよ。ホントに。」 中禅寺湖と遊覧船がなしとなると、今度は時間があまりそうです。 あんまり早くホテルに着くというのも手抜きのように思われてしまいます。 「竜頭の滝の上から下まで歩いたらどうか」という意見がでました。 時間稼ぎをしようと言うわけです。 滝の上から下まで10分から15分くらいはみれるだろうということでした。 「それならいっそもっと上から林の中を歩いてはどうですか。そのようなコースがあることはありますが。」 J○Bさんの意見で試しに歩いてみようということになりました。 車なのですぐに着きましたが、実際にそこから歩いたコースは20分くらいはあったでしょうか。林の中の小川に沿った道は雨上がりのぬかるみのところもあり疲れただけでした。 結局歩くのは滝の上から下までのコースと決まりましたが、いやはや下見も真面目にやるとこんなに大変なのよと思いました。 夕方ホテルにチェックイン、さっそく気になる宴会場を見せてもらうことにしました。 というのは、わが社の宴会はとにかく広く豪華になってないといろいろ問題があったのです。 400畳くらいのひろーい宴会場でやらないと幹事の評価がいまいち上がらないです。 今回の日光旅行は200人を下回るだろうと予想されていました。 それでも300畳くらいは確保したいのです。 ホテルのパンフレットでは、350畳の宴会場になっていました。 ところがどうも350畳を全部使わせてもらえず間仕切をして、200畳くらいになってしまうようでした。 仕切の向こう側でよその宴会があるわけです。それはいまだかって例のなかったことなのです。 こりゃあ大変だよ、まずいな。幹事はなにしてんだって言われるかもよ。 私たちはJ○Bの担当者に食い下がりました。 「間仕切りは絶対にいやだからホテルに強く交渉してくれ」と。 そのことで幹事の力量が問われるのです。 ホテル側との交渉は見ていてもいまいち弱いものでした。 「なんとか考えてはみます」という感じの答しか返ってきません。 その時のお客さんの入り具合であけられるかもしれませんのでということで引き下がるしかありませんでしたが、J○Bさんに対する不満は消えませんでした。 夕食。若干のお酒をいただく。 今日のコースの反省、意見と活発なディスカッションを展開!この辺の内容は一般の方には難しく、つまらないと思いますので????(… 中略) 翌日は朝9時ホテルを出発、予定の「江戸村」へ向かいました。 夕べのアルコールがまだ随分残ってまして(小生だけ)気持ちがよくありません。 ムカムカしてます。(活発なディスカッションは時として非常に酔いを伴うことがあるものなのです。) ワゴン車に長い時間揺られていると、とっても不安です。 幸いなことにほんの10分か15分で「江戸村」につきました。 応対に出てくださった係の方は「与力」の肩書きが入った名刺を下さいました。タレントの久本さんに似た明るい感じの方でした。 好きなアトラクションに入れるようでとても楽しいところでした。 その日は「南町奉行所」と「萩本欽ちゃんの監修する劇場」を見ましたが、両方ともとてもおもしろいところでした。本番も多分喜ばれるだろうと自信を深めました。 宴会の不満を「江戸村」でカバーできそうな気がしてきました。 昼までそこですごす設定でしたので、昼食は江戸村のレストランです。 ようやく気分も治ってきました。一時はどうなることやらと内心心配だったのが嘘のように、やっぱりお昼のビールは最高です。 昼食後は、予定のコースで「日光の名物の漬物屋さん」に寄り帰路につきました。 こんな感じで下見は無事に終了したのです。 それから約1ヶ月後、第2次募集をかけました。 下見の前に1次募集は終わっていましたので、2次が最終になります。通常は1次よりも若干減ります。 その後、7月に入ってからはいろいろ準備がありました。 バス旅行なので、決め事が結構いろいろあるのです。 バスの乗車振り分け、バス責任者、準備する飲み物・菓子類、今回は宴会の景品を貨物便で送ろうということにしました。 景品の予算でディスカウントショップへ買いに行き、帰ってきて1個ずつ包装。小生のデパートの経験がこんなところで役に立ったものです。 景品のリスト作成、くじの順番決めなど細かい準備がたくさんありました。 バスでの飲み物は、酒屋さんにたのんで冷やしたものを当日朝、バスの集合場所まで運んでもらうことにしました。 夏休みが終わると、あれやこれやしているうちに本番が目の前に迫ってきます。 10日前くらいにホテルの部屋が決まりました。 急いで部屋割りを決めなくてはいけません。 幹事二人とも初めてですので、前幹事長がリードして埋めていきます。 部署によってはそこの責任者にたのんで、割り振っていただきました。内情を知っている人に決めてもらうのが間違いないのです。特に女性群はいろいろむずかしい問題があるらしいのです。 1週間前、会社の朝礼で幹事長から「旅行の開催」をお知らせします。そして、決まった個人別の案内状を配布するのです。 自分の部屋割りを知ってメンバーを確認する人もいるし、嫌がる人もいるようですがしょうがありません。 なかには「○号車を禁煙にしてくれ」とかいう者も出る始末。 いちいち聞いていたら大変です。 いよいよ明日出発という前日、さすがに小生も胃がちくちく痛んできました。 いよいよ旅行本番。幹事長の補佐役としてうまくいくかどうか。 次回「社員旅行のスタッフ 後編」に続く。 |