次世代オーディオに対応した名機
2000年発売当時、定価100000円。オーディオ各誌でベストバイを独占したPMA−2000シリーズの3代目であり、SACD、DVDオーディオなどの高音質ソフトが続々と発売され、高音質な次世代オーディオに対応したアンプとして注目されたプリメインアンプの傑作です。出力素子にはUHC-MOSを採用した基本的なスタイルは同じですが、周波数特性の上限を100kHzに改善し次世代オーディオに対応する分解能を得ています。また、動作抵抗を大幅に低減したパワートランスや、大容量電解コンデンサーと周波数の異なるコンデンサーを組合わせて搭載し、再生周波数の全帯域において電源を余裕をもって供給できる回路にしているので、音の定位の良さ、安定感が改善されています。フォノイコライザー部には、フォノイコライザー専用の安定化電源により、高音質化されていてアナログファンには嬉しい限りです。
2000年前後に新たに登場したSACDやDVDオーディオなどの高音質ソフトの音の良さに衝撃を受けたオーディオファンも多いと思いますが、高音質ソフトに対応したオーディオ機器も次々に発売されました。このアンプは、そういう意味でも1990年代までのアンプとは違う価値があります。せっかくの高音質ソフトも、その広いレンジの音を再現できるアンプやスピーカーが無ければ、高音質ソフトの音の良さを100%楽しむ事はできません。SACD、DVDオーディオなど音質を100%楽しみたい方には最高のプリメインアンプであり、ベストバイで1位を受賞したワンランク上のグレードを楽しめる名機です。
PMA−2000の音質の良さには衝撃を受けましたが、SACDやDVDオーディオのソフトに対応できるアンプが、どうしても欲しくて購入しました。期待通りに高音質ソフトの音の良さを、更にハイグレードで楽しむ事ができましたが、驚いたのは、PMA−2000と比べて全体的にグレードが上がっていることでした。サンスイAU−907MOSや、DENONのPMA−S−10と比べても遜色ないほどの水準にブラッシュアップされたサウンドで、しかも高音質ソフト対応なのですから、定価10万円という価格が、かなり安く感じられました。DENONのPMA−S−10と比べると、ベースやドラムの音の硬質なパワー感は劣りますが、逆に長時間聴いていても疲れない心地の良い低音で、中域、高域に関しては、ほとんど差が感じられませんでした。心憎いほどの繊細さを持ちながらも、ドラムの音には抜群の安定感があり、バスドラム、スネアドラムの音の定位の良さは勿論、タムの定位も安定しているので、ドラムセットが目の前にあるような音の安定感と立体感を体感できます。最近ストレスに満ちた生活をしているので、60年代から70年代のハードロックの名盤を大音量で聴く事が多いのですが、特に70年代のソリッドでシンプルなロックを聴くにはPMA−2000Wより気持ち良く聴く事ができました。ストリングス、ホーンセクションなどを加えて厚めのサウンドになっているロックやポップスを聴くならPMA-2000Wの方が上かもしれませんが、シンプルなロックを楽しむなら、こっちの方がいいと思います。高音質ソフト対応という事ばかりが話題になったアンプですが、このアンプは、フォノイコライザー専用の安定化電源により、高音質化を図られていて、アナログ部もPMA−2000と比べて高音質になっています。アナログファンの期待を裏切らない製品のコンセプトも嬉しく感じます。実際の所、私も、このアンプを使うようになってからアナログ盤を聴く機会が増えました。高音質ソフトを聴いて良し、アナログ盤を聴いて良しの、オーディオファンにとって最高のアンプだと思います。
PMA−2000シリーズでは、次の2000W、2000AEともに、どちらかと言うとクラッシック、イージーリスニング向きの柔らかい音質になっているので、ロック、ジャズなどシンプルな編成の音楽を中心に楽しむ方なら、このPM−2000Vがオススメです。ロック、ジャズのファンを中心に今でも人気のアンプなので、中古で6万円前後が相場になっているようですが、6万円でも十分お買い得だと思います。