英雄と契約
(現地 SideS)


 
任務の内容は遺跡に住み着いたモンスターの殲滅
……内容だけを見るならばよくある任務だ
『問題は神殿ね』
知り得た情報を元に話し合った結果
神殿内部へと足を踏み入れる事が決定していた

きらめく刃の軌跡
両断される身体
刃先にまとわりつく体液を振り払い、返す刃で次の獲物を倒す
幾度も繰り返された動作
周囲に倒れ伏すモンスターの姿
荒く息を吐き出すスコールの目に、神殿の奥から幾体ものモンスターが出現する様子が見えた
背後から聞こえる銃声と舌打ち
まるで、神殿の中でモンスターが生産されているかのように、次から次へとあふれ出てくる
数体のモンスターが銃弾に貫かれ地に倒れる
―――しつこい
背後から援護を受けながら、スコールは呼吸を整え、モンスターの群れの中を駆け抜けていく
周囲に散らばるモンスターの死骸
目的地から、溢れてくるモンスター
分が悪いのはわかっている
どれだけ、仲間が倒されても、怯む事無く向かってくる
……これは、機械じゃないか?
頭に浮かんだ言葉
まさかという思いと、それならば納得できるという思い
切り捨てたモンスターから流れた体液が辺りを濡らしている
際限のない敵
感じていた違和感が、徐々に大きくなる
改めて見つめるモンスターの姿
反射的に動く刃に倒されるそれからは、生命力が感じられない
それでも、まるで生き物だと主張するかの様に周囲へ体液を巻き散らす
スコール達の元へ、脇目もふらずにモンスターが押し寄せている
異常な光景
異常な行動
「いったいどうなってるの!」
悲鳴の様なキスティスの声
もしも、これが機械だと言うのならば
この異常な行動も理解できる
力を込めたスコールの一撃に、モンスターは、はじけとんだ

神殿へと近づくにつれ、攻撃が激しくなってくる
敵はその数を減らすどころが、その数を増やしているかのようだ
長く続く戦闘に息が上がる
息を整えようと、一瞬地面へと視線が流れた
!!
視界に飛び込んだ光景に目を奪われる
視界に映った光景に気を取られ生じた隙
「スコール!!」
注意を促す絶叫
ほぼ同時に、皮膚をかすめて空気が裂ける音
スコールは我に返り、周囲の敵を切り裂く
崩れ落ちる敵を横目に、スコールはもう一度先ほどの光景を確かめる
倒したはずの敵が、時間をおいて再び起き上がって来る
身体を二つにされ動くことのかなわないはずのソレが、半身を再生し復活する
冗談じゃない
そう思ったど同時に自然に身体が動いた
ガンブレードを、払い
意識を集中させる
意識の片隅に感じる気配
スコールは、G.F.を召還した
………召還したはずだった
…………何が、おこった?
信じられない出来事に、スコールは目を見張る
ほんの一瞬の具現、感じたはずの手応えが霧散した
呆然と立ちすくむスコールの周囲から、埋め尽くさんとばかりに殺到していた敵が、まるで神殿へ案内するかのように身を引いていく
「……ちょっと」
戸惑ったような声が聞こえる
神殿までの道筋が現れる
『汝の資格を認めん……』
スコールの脳裏で威厳のある声が響いた 
 
 

 
次へ そのときのラグナは? 声?