(邂逅 SideL)
神殿の地下にそれは鎮座していた 見上げるほどの巨大な姿 理知的な瞳 …………G.F. ―――我が住処を荒らしたのは、おまえ達か? 直接脳裏に問い掛ける静かな声 「いいや」 圧迫感のあるその問いかけをラグナはあっさりと否定した。 気楽な返答に戸惑っているかのように、わずかに沈黙が落ちる ―――では、私を起こしたのは……… 「………いつ起きたんだ?」 G.F.の問いかけがすむ前に、ラグナが困ったように質問を返す その様子をスコールは、唖然とした面持ちで見ていた G.F.に対する畏怖も何もがあっさりと瓦解していく 非常識だ 脳裏にさまざまな言葉が浮かび、消えていく G.F.は回答を探すように、人間の様子を伺かのように長い間沈黙していた ――――なるほど、言われてみれば確かにその通りだ 不意に楽しげに笑い声を立てる やがて、笑いをおさめると、2人の人間をじっと見つめている なんだ? 圧迫感を覚える強い視線に、スコールは、我知らずガンブレードを握り直していた 視線がラグナの方へと向けられる ―――剣を持ち出したのはそなたか? そらされた視線、だが、今にも始まろうとする戦いの気配 「ああ、………勝手に持ち出してわりぃ……」 不自然な程落ち着きを払った声 G.F.は口元に笑みを浮かべる ―――いや、それは誰もが持ち出すことを許されたモノだ 戦いの前の緊張感 濃厚な戦いの気配、気配に引きずられるように、気分が高揚していく 「へぇー」 いつもと変わらないラグナの声 鈍いのか? …………それとも……… 視線がスコールへと向けられる 何もかもを見通すような視線 全身を巡る血の道筋 1つ、鼓動が鳴り響く 神経が張りつめる ―――なるほど しみじみとしたつぶやき ガンブレードの剣先が自然にG.F.へと向けられる ――――なるほど 違う口調で繰り返される言葉 声の調子に初めてラグナが反応した ――――それでは 2人同時に剣を構える ―――――始めるとしよう 鋭い声と共に、突風が吹き抜けた |