英雄と人形
(狩り)


 
「大切なサンプルだ、1匹たりとも殺すんじゃないぞ!」
探索を始めて程なくして現れたモンスターの集団
ようやく見つけた協力者達が、モンスターの群れに飛び込んでいく
今まではモンスターを生きたまま集める事が出来ずに居たが、コレでようやく実験を行う事が出来る
苦労して見つけたアレをようやく使う事が出来る
傷つけられたモンスターが鋼鉄の箱の中へと押し込まれていく
既に準備は整っている筈だ
後は、モンスターさえ連れて行けば全て上手く行く
窮屈な箱の中で、モンスターが暴れている
箱の中から聞こえるモンスターのうなり声
時折悲鳴が交じり、水音が聞こえる
争いあう音
これではモンスターの大部分が生き残れない
「これではダメだ、モンスターを傷つけずに運ばなくては」
次々と倒れていくモンスター達
良く見ればその殆どが致命傷を受けている
慌てる私の目の前で、モンスターが次々と運び出された

安全な場所へ移動を終えて、モンスターがぶちまけられる
傷つけられ、息絶えた数々のモンスター
感じた通り、残っているのはほんの一握り
「コレで実験は出来るか?」
「…………」
ゆっくりと近づいてくる影
私の斜め後ろで立ち止まり、モンスターの様子を伺う
「行う事は可能ですが、余り意味がありません」
やはり、傷ついたモンスターでは意味が無いのか……
「作業に入りますか?」
眼下に見えるモンスターはこの私でさえもトドメをさす事が出来る様だ
コレでは確かに意味が無いが、この研究の片鱗なりとも……
「今すぐ作業を進めてくれ」
「了承致しました」
今はコレで良い
次に傷一つ無い完全なモンスターを運び込めば良い
眼下では傷ついたモンスターが、尚も戦いを続けていた
 
 

 
 
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