(侵入)
目標地は、エスタ国内北部 森林に覆われた未踏地 小さな発信器が今尚詳しい所在地を告げている 「ポイントの固定は完了しました」 今後発信器が破壊されたとしても、所在地が解らなくなる事は無い 発信器を仕掛けてから、既に10日 停止してから発信器の位置は一度も動かない 数十個の発信器が同位置の場所を示している現在 示されたこのポイントが、運び込まれたモンスターの終着点であり、この場所が研究施設で有る事は間違いない 「一度本気で探索した方が良いかもしんねぇな」 エスタ北部の原生林地帯 あの場所は、長い間人が足を踏み入れる事無く放置されていた場所 国内外が不安定だった時期には、木々が覆い繁る、人が歩くのも困難な場所に目を向ける者は居なかったが、そろそろ目を向ける時期が来たのかも知れない 「該当地へ部隊を展開します」 慌ただしく、各所を繋ぐ通信が飛び交っている 「それで、モンスターを自在に操るってのが目的なんだな?」 各地から入る情報や、情報を処理する音、指示を出す声 様々な音が雑然と辺りに蔓延っている 「モンスターを操る術を見つけたと言っていたらしい」 騒音とも言える音の中で、ラグナとスコールは情報の確認をしていた 「そういった類の奴は、研究の成果を聞かれればぺらぺらしゃべりそうなんだがな」 研究成果を評価されるってのが重要なようだしな 聞かれもしなくても話すもんだと思っていたが…… 「感触としては、自分自身の力では無さそうだと言っていたな」 そうなるとやっぱり 「セントラ関係ってところか」 考える迄も無く候補に挙がっていた事情 自分が発見し確証を得る為の実験だというのなら、危険を冒してエスタに滞在する必要は無い モンスターに関する実験だと言うのなら モンスターさえ居れば、どんな場所でもいくらでも実験を重ねる事が出来る ―――人に迷惑の掛からない範囲で、ってのが前提になるけどな 「可能性は高いんだろう」 何処か投げやりなスコールの言葉に苦笑する 「人の手が入ってないってのは、それだけ過去のモノが残っている可能性があるって事だからな」 その上エスタは元々実質的なセントラの継承者だ、重要な施設が残っている可能性は格段に高い 『先に行ってるぞ』 準備を終えたらしいウォードが部下を引き連れて行く 次第に辺りが静まりかえっていく 「……特に注意する事は無いよな」 研究施設の状況が判明していない状況では、特別に言及しなければならない事はない 「ないな」 施設の大まかな調査も依頼に含めても良かったかもしれねぇな 「んじゃあ、行くか」 人の姿が少なくなった部屋を見渡し声をかけた 施設の周りを取り囲む様に配置された兵士達
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