(戦闘 SideS)
見通しの良い広い通路が続いている 予想外に広い施設の中は、人数を投入しても調べ上げるにも時間が掛かりそうだ 痕跡はあるが人の気配を感じない場所 広く空けられた空間に思い出した様にコンテナが置かれている そのコンテナの中にも、影にも人が潜んでいる気配はない 先ほど出逢った兵士達もまだ人の姿は見ていないという もっと奧の方に居座っているということなのだろう 人の気配どころか生き物の気配すらしない事を確認し、スコールは多少気を抜く 歩いているスコールの眼の前の空間が微かに歪む 足を止め瞬きを繰り返したその眼前に、現れた人影 突如武装した人間が周囲を取り囲んだ !? 現れると同時に仕掛けられた攻撃をかろうじて交わす 気配が無かった? 眼の前に現れるその直前まで、身を潜める気配を感じなかった それ以前に、この場所には身を隠しておける様な場所は無い 何処から来た? 空気が張りつめる 対峙した相手の中には戦闘に不慣れな者も交じっているようで、不安定に武器が揺らいでいる 此処を切り抜けるのは対して手間は掛からない 感じた印象に間違いは無いだろう だが、次の敵が何処から現れるのか判断がつかない 眼の前の数人以外の気配はどこからも感じない 緊迫した空気に耐えられなくなったのか、突如言葉にならない声を上げて一人男がつっこんで来る ろくに構える事も出来ていない剣先 およそ戦闘要員には成り得ない男の様子 只の人数併せに送り込まれたのか、それとも……… 意識する事無く、男を避け スコールは油断無く辺りの様子を伺う 男の動きに釣られたように、幾人かの人間が動く 彼等を軽くあしらう中、耳に小さく聞こえた舌打ちの音 当たりをつけていた男がどこかへと小さな合図を送る そして、突然現れた新たな人間の姿 驚きにほんの一瞬、スコールの意識が取られる 鋼を弾く重い衝撃 意識しないままに振り翳したガンブレードが、相手の剣を弾く 次の瞬間、とっさに身を翻し、距離を置く 耳に聞こえたていてのは微かな金属音 ずれたタイミングで打ち込まれる銃弾 とっさに頑丈そうな金属製の箱の裏へと身を隠す 続けざまに浴びせられる銃撃 複数の銃に狙われた状態は、ガンブレードで渡り合うのは不利だ 「覚悟を決めた方が良いぜ」 うっすらと笑みを浮かべ、男が近づいてくる 何処から現れるか解らない敵 戦力的に不利と言える状況 打つ手が無い、と思わせるには最適の条件だ 軽く眼を閉じ、息を整える 傍へと近づいては来ない男達の見え透いた説得の言葉が続いている 他の気配は、やはり感じない 感覚が鈍った訳では無いのなら、近くに潜んでいる訳ではない事になる わざと強調した殺気だった気配に、男達はなかなか近づこうとしない 脳裏に浮かぶ先ほどの光景 何も無い空間から滲み出る様に現れた姿 普通に考えるならば、アレが偽物だと思うのが妥当な所だが、気配がそこに実際に居ると主張している スコールが物陰で考えに沈んでいる間も、言葉が続いている …………… ゆっくと、周辺の壁や天井を見つめる ―――感じないな どこかから監視されている感覚は無い 構えていたガンブレードを降ろし、精神を集中させる 身体の奧から沸き上がる力、頭の裏側で感じる何者かの意思 どういう仕組みで人が現れたのかは解らない だが、あの男が指示を出した事は想像が付いた それなら……… 一気に片をつければ良い 独特の感覚を伴って、G.F.が召喚された
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