(人形 SideL)
見た目に似合わない重量 受け止めた手首の人とは違う質感 足音が遠ざかっていく 追いかけようとする、その腕を掴み握りしめる 振り払おうとする強い力 くっ 引き止める腕が震える 遠ざかった足音、スコール達の気配が遠ざかる 感情の無い視線がラグナへと向けられる 表情の変わらない顔 「邪魔をしないで下さい」 軋んだ声が言葉を告げる ! 間近で聞こえた風を切る音に、反射的に手を離し後退る 鋭く放たれた蹴りが身体を掠める 足が着いた勢いを利用し、地を蹴り懐へと一気に飛び込んでくる 身体を捻り重心を移動し、攻撃を避ける 速いな 訓練された兵士にも出す事の出来ないスピード 避けるラグナを追うように、連続した攻撃が放たれる こいつは、ちょっと面倒だな 外見に見合わないスピード、力、能力 触れるか触れないかの位置で上手く避けるラグナの耳に極々小さく聞こえる機械音 音も立てずに着地した足が、衝撃wp緩和する薄いクッションに取られ沈む 重そうなんだがな 当たらない攻撃に動きを止めた少女を見据えながら、ラグナはゆっくりと剣を抜き放つ 探る様に、じっと見つめる視線 軽く構えた剣を間に、薄く感じる戸惑いの感情 探る様に動く心 時間にしては僅かな長い沈黙 微かに少女の表情か変わった様に見えた 弾む様に飛び上がり、ラグナの頭上へと振り下ろされた腕 無造作になぎ払った右手の剣が、金属音を立てて腕を弾く 弾かれると同時に 後方へと、流れた少女の姿が視界を過ぎる その腕に見えた鋭い切っ先を持つ鋼の輝き 素早く振り返ったラグナは、右腕の先から現れた剣を備えた少女と正面から向き合った 先ほどまで柔らかく身体を覆っていた皮膚が金属の光沢を放つ 「……便利だな」 ため息混じりの言葉に、少女が困惑したように首を傾げる 体内から出現する武器、金属へと変わる身体 外観と一致しない力や重量 つまり、コレもセントラの遺産って事なんだろうな 楽しげに口元が笑みを履く 強く足を踏み出し、今度はラグナの方から剣を打ち込む 軽くあわされた剣を翻し、続けざまに胴を薙ぐ 幾度か触れ、剣が掠る 想像よりも硬い手応え ―――金属じゃないのか? 綺麗に刃が当たらなかったとはいえ、どの攻撃も触れると同時に弾き返される 手の中の剣を握り直し、有効な手だてを考える 少女もまた、何事かを思っているのか、立ちつくしたまま動かない 空気を振るわすように一定の音域を保った機械音が聞こえる 武器を構える事無く、足を一歩踏み出した少女の元から小さく何処か錆び付いたような濁った音が聞こえた ん? 何処かぎこちなく近づいてくる少女の姿 「どうかしたか?」 じっと見上げる眼には、感情が見て取れた 音を響かせて、地に倒れ伏す
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