英雄と人形
(出発 SideL)
普通ならば、何という事はない様な些細な報告厳重に隠された扉の中、幾重にも仕掛けられた仕組みの先、隠匿された部屋の中
所狭しと置かれた装飾品と武器の数々
ラグナは無造作に置かれた品々を慎重に手に取り、そして戻していく
選び出したのは、1つの腕輪と2つの刃
腕輪は左腕へ
短刀とも呼べる比較的小さな刃は巧妙に隠され
変わった形状をした一振りの剣はいつもの様に手の中へ
腕輪の触れた二の腕が微かに熱を帯びる
隠し持った刃が澄んだ音を立てる
古い文献に載っていた今は居ない筈の存在
同様に古い地図に示された一つの島の存在
何とかなるだろうよ
事細かく掲載されていた記録は、遠い昔“魔物”が“封印”された事を綴っていた
軽やかな足取りで、廊下を歩く
すれ違う職員達が一礼し、手の中の剣を目に止めなんとも言えない表情をする
『今回の件はSeeDに任せる』
通達は廻ってるみたいだな
だとすると………
「何処に行くんですか!?」
誰かの連絡を受けたのかいつもの奴等がすっ飛んで来る
「高みの見物、別にスコール達の邪魔はしねーよ」
今から宣言した通りに、見物しに行く
武器を持っていくのは、万が一モンスターの1匹でもこっちへ向かってきたときの対処の為だ
引き止めようとする言葉を巧みにかわし
「んで、スコールはもう行ったのか?」
既に出発している事は解っている
なんていったって、出発しようとした所を掴まえたからな
待ってろって行ったのにさっさといっちまうんだもんな
「既に出発してます、確認の為に1人つけていますから大統領が連絡を取るのは難しくないと思いますが………」
いつもよりは遙かにマシと判断でもしたのか、比較的簡単に連絡手段やとりあえずの目的地が教えられる
後は言葉巧みに俺が“高みの見物”に行くという事実を受け入れさせる
「ま、見つからなかったら連絡するさ」
そしてラグナは、開発されたばかりの一隻の小型飛空船へ乗り込み目的地へ向けて出発した
傍に置いた剣が震動を繰り返す
スコールの元に着けないのはいつも通りに“迷子”って奴だ
目的地は“魔物”の眠る地、水中に沈む島
「そっちは任せたぜ」
俺はあそこを滅ぼしにいかなきゃならねぇ
飛空船がスピードを上げた
次のラグナサイドへ そのころのスコール
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