英雄と魔法生物
(出発 SideS)


 
「とりあえずガンブレードじゃ困るだろ」
ラグナが来る前にエスタを出立しようとしたが、官邸を出ようとした所で運悪く捕まった
当然、船に乗せろとでも言うのかと覚悟していたが、スコールへと押し付けられたのはマシンガン
―――ラグナの愛用の武器
いぶかしげにラグナを見ると先ほどの言葉が返ってきた
「………そうだな」
認めたくはないが、考えて見れば確かにガンブレードでは戦闘に多少不利かもしれない
けれどだからといって、コレを渡される理由も無い
バラムガーデンにも個人所有では無い武器くらいは置いてある
「別に持って行った所で邪魔にはならないだろ?」
そのまま行くと言ったから持ってきたのだとすれば………
「牽制くらいにはなるさ」
魔法を使うという手がある以上、牽制としても使う必要は無い
「無いよりはある方がましっていうだろ、遠慮するなよ」
………持って行く必要は全く無い上に、持って行きたくも無いんだが………
「………借りていく」
持って行った方が面倒はなさそうだな
流れるように言葉を並べるラグナの様子に、スコールは説得を諦めた

バラムガーデン所有の船が港を離れる
「ガーデンに連絡を入れるよ」
今回エスタに来たのは、情報収集の為だ
他はどうか知らないが、こんなに上手く物事が運ぶとは考えてはいなかった
エスタを出た後一度ガーデンに戻り、集まった情報を整理して対策を考えるつもりだったが、お陰でその必要は無くなった
このままモンスター退治に乗り出した所で大した問題はない
もし、特殊な能力を持つが故に攻撃が困難だという事態が起きたなら、それはそれでデータとして役に立つ
ただし、モンスターと遭遇したからといって、今海に出ている者が戦う必要はない
むしろ、戦わない方が良さそうだ
命令は、モンスターの現在位置の発見
発見後は直ちに連絡を入れ、見失わない距離で待機及び尾行
今回のモンスターは見たことも無い種類のモノで何が起きるかわからない、どんな能力を持つのか解らない
自分達の様なSeeDならともかく、闘い慣れないガーデン生が遭遇したりしたら、的確な対処ができない可能性が高い
「それと一隻潜水艇を廻してくれ」
基本的にモンスターの居場所は水の中だ
上から見るだけでは発見は難しい
発見だけならば探査装置を使えばカバーできるかもしれないが、今までのデータ上、モンスターが海面に浮上してくる確率は低い
海中のモンスターを引きずり出す必要がある
大まかな作戦は決まった
後はモンスターと何処で遭遇するか
それと、ラグナの邪魔が入らなければ良いな
マシンガンの銃身が鈍く光った

 
 
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