英雄と魔法生物
(戦闘 SideS)
海中を伝わる震動、衝撃
海中で発生した衝撃に海が揺れる
船に掛かる新たな負荷
船の舵を必死で取る操舵員の姿が見える
連続して感じる衝撃
潜水艇から発射されたミサイルは回避される事無くモンスターに命中している
「このままミサイルで倒れてくれれば楽なんだけどね」
先ほどから激しく揺れる船がつらいのか、青ざめた顔でアーヴァインが言う
「そーだと良いけどねぇ」
揺る船の上で上手くバランスを取りながら、セルフィーが海を覗き見る
尚も続く衝撃
空を覆っていた雲が消えている
「来たよっ!」
セルフィーの声と共に、海面が高く盛り上がる
盛大に上がる水しぶき
鳴り続いていた雷が止む
頭上に落ちる影
目の前に巨大なモンスターが姿を現した
海の向こうから巨大な津波が押し寄せる
頭上に覆い被さる波の姿
船員達の怒号が聞こえる
船と人にダメージを与えた津波は背後へと流れる事はなく消え去っていく
強い衝撃は受けるが、波に浚われる危険が無い分少しはマシなのかも知れない
一瞬の内に発動される魔法
続けざまに発動される魔法に、攻撃を仕掛ける隙が取れない
せめて援護が期待出来れば………
モンスターの背後から攻撃を仕掛ける別働隊が存在していれば、今よりは多少はましな攻撃が出来るはずだ
だが、船とモンスターとの距離はとても近い
この距離ではスコール達が乗る船にも被害が及ぶ可能性があるため、海中に存在する潜水艇からの援護は期待できない
浮上するまで持たせられるか?
風が巻き起こる
周囲を切り裂いて進む風の刃がうなりを上げて迫ってくる
相手と同じ様に魔法を使うには時間が足りない
魔法が発動される時間が圧倒的に違う
体に触れる風の刃を感じながら、スコールは右手の武器を一度強く握る
ガンブレードでは、接近しなければ攻撃をすることが出来ない
船とモンスターの間は近くて遠い
確実にモンスターへと攻撃を当てる為に接近すれば海へと落ちる
身体のあちこちに痛みが走る
アーヴァインが撃つ銃声が聞こえる
今はガンブレードは使えない
開いた右手から武器がこぼれ落ちる
魔法を発動させるには、間断無い魔法の攻撃にさらされ集中力が足りない
「このっっ」
セルフィの声が聞こえる、モンスターに向けて飛んでいく金属の輝き
闘いの場が船の上になる以上、接近戦に持ち込めないことは予測できた
足下でガンブレードの倒れる重い音が聞こえる
左手が武器を掴む
両腕に掛かる重み
吹き荒れる暴風の中で、撃鉄を起こす音が耳に響く
スコールの指が引き金を引く
腕に伝わる衝撃
こぎみよい連続音
モンスターへとたたき込まれる無数の弾丸
連続した衝撃にモンスターの身体が僅かに揺らぐ
続けざまに放たれていた魔法がようやく止まった
次のスコールサイドへ そのころのろラグナ
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